【世界の馬主紹介 Vol.15】ウェイン・ヒューズ

2020年09月02日 15:00

2021年8月18日に87歳で亡くなったアメリカの馬主・牧場主。個人倉庫業で北米最大規模を誇るパプリックストレージの創設者で、オレンジと紫の勝負服の色合いはパブリックストレージのロゴと同じ配色。ブラッドレーではなく、ミドルネームのウェインと呼ばれることが多かった。

馬主となったのは1970年代前半のこと。最初は隣人達と共同での所有だった。その後1998年のG1ターフクラシックSを制したジョワイユーダンスール、2003年のG1BCジュベナイルの勝ち馬アクションディスデー、2007年のG1キャッシュコールフューチュリティ優勝のイントゥミスチーフなどが活躍した。

大きな節目は2004年にナシュア、シアトルスルー、レイズアネイティヴなども供用されたケンタッキー州の名門スペンドスリフトファーム(1937年創設)を買収したこと。スペンドスリフトファームは、2010年の北米首位種牡馬に輝いたマリブームーン(2021年に死亡)などを擁して、そこから息を吹き返し、現在ではイントゥミスチーフ(2019、20年の北米首位種牡馬)、オーセンティックオマハビーチヴィーノロッソなど20頭以上の種牡馬を擁する大牧場となっている。

所有馬のビホルダーは数々のG1タイトルを獲得した。(Photo by Getty Images)

スペンドスリフトファームズの名義では2011年にコートヴィジョンでG1BCマイルを制してG1初制覇。その後、2012年のG1BCジュベナイルフィリーズ、2013年のG1BCディスタフ、2015年のG1パシフィッククラシックS、2016年のG1BCディスタフなど11のG1を制し、米最優秀2歳牝馬、同3歳牝馬、同古牝馬(2回)に輝いたビホルダーなどを所有。また亡くなる前年の2020年には、G1サンタアニタダービーの前に共同所有者となったオーセンティックで悲願のG1ケンタッキーダービー制覇を達成。同馬はG1BCクラシックも制して、米年度代表馬に輝いている。


近年のG1勝ち
2020年
なし

2019年
なし

2018年
なし

2017年
なし

2016年
BCディスタフ(アメリカ):ビホルダー
サンタアニタスプリント選手権S(アメリカ):ロードネルソン
ビングクロスビーS(アメリカ):ロードネルソン
トリプルベンドS(アメリカ):ロードネルソン
ヴァニティマイルS(アメリカ):ビホルダー

*ウェイン・ヒューズ氏、およびスペンドスリフトファームズによる単独名義の所有馬のみを掲載

文:秋山響(TPC)