【世界の馬主紹介 Vol.18】ウインスターファーム

2021年09月23日 15:00

 ケニー・トラウトが率いるアメリカの馬主、生産組織。

 1948年にイリノイ州で生まれたトラウトは17歳の時に叔父につられて競馬場を訪れたことをきっかけとして競馬に魅了された。

 やがて1988年に設立した長距離電話会社であるエクセルコミュニケーションズで大成功を収めると、同じ馬をクレーミングで購買しようとしたことがきっかけで知り合った、20代からの競馬仲間でビジネスパートナーでもあったビル・キャスナー(元調教師)とともに満を持して、本格的に競馬事業に参入。2000年にケンタッキー州のプレストンウッドファーム(クリスエスなどを供用)を買収し、改名した上スタートさせたのがウインスターファームだった(ただし、キャスナーは2010年にウインスターファームから離れている)。

 2021年9月現在、ケンタッキーの本場で繋養されている種牡馬はスパイツタウン、コンスティチューション、モアザンレディ、ディストーテッドヒューモア、そしてハーツクライ産駒の日本産馬ヨシダなど21頭(2020年に種牡馬を引退したティズナウは除く)。現在の牧場は2700エーカーにまで広がり、大規模な調教施設も設置。生産組織の枠を超え、競馬に関する総合事業体となっている。

ウインスターファーム所有でG1を2勝したドロッセルマイヤー。(Photo by Getty Images)

 馬主としては、2001年にポンペイでG1パーソナルエンスンHを制してG1初制覇。その後、2009年にウェルアームドでG1ドバイワールドカップに優勝すると、2010年にはG1ケンタッキーダービーをスーパーセイバー、G1ベルモントSをドロッセルマイヤーで制して、エクリプス賞最優秀馬主を受賞。2011年にはG1BCクラシックもドロッセルマイヤーで制覇した。

 その後も共同名義ではあるが、2016年にはG1ベルモントSをクリエイターで優勝したほか、2018年には米三冠をジャスティファイで達成。また、日本のセレクトセールで購買したヨシダでは2018年にG1ターフクラシックSとG1ウッドワードSを制し、後者の勝利は日本産馬では初となる北米ダートG1制覇となった。

近年のG1勝ち(共同名義は米三冠レースとブリーダーズカップのみ記載)
2021年
ハリウッドゴールドC(アメリカ):カントリーグラマー

2018年
ベルモントS(アメリカ):ジャスティファイ
プリークネスS(アメリカ):ジャスティファイ
ケンタッキーダービー(アメリカ):ジャスティファイ

2017年
BCダートマイル(アメリカ):バトルオブミッドウェー
メーカーズ46マイルS(アメリカ):アメリカンペイトリオット

2016年
BCマイル(アメリカ):ツーリスト
ベルモントS(アメリカ):クリエイター
アーカンソーダービー(アメリカ):クリエイター

文:秋山響(TPC)