【凱旋門賞】近年のレース傾向と馬券での狙いどころは?

2021年09月30日 13:00

 フランスのパリロンシャン競馬場を舞台に行われる世界最高峰の中長距離最強馬決定戦、凱旋門賞。今年で区切りの第100回目を迎え、日本からクロノジェネシス、ディープボンドの2頭が出走を予定している。このコラムでは、日本での馬券発売が始まった2016年以降の近5年ならびにパリロンシャン競馬場で施行された近3年のレース傾向から馬券での狙いどころを探っていく。

 表1はパリロンシャン競馬場で行われた近3年の3着以内馬一覧。馬場状態がすべて異なっており、勝ちタイムもかなり開きがある。2018年に制覇したエネイブル(17年シャンティイ開催時も優勝)は、19年に2着と敗退。昨年は2年ぶりの勝利を狙ったものの、6着に敗れた。不良馬場で行われた昨年はソットサスが優勝。上位3着までをフランス勢が独占する結果となった。

 近3年の特徴としては、フランス勢とイギリス勢中心、年齢は3~5歳馬、3番人気馬が連続好走、5番人気以下が毎年1頭好走、が挙げられる。また、エネイブルやソットサスのように連続年で好走するケースが目立つのも凱旋門賞の大きな特徴だ。

 表2は近5年の性齢別成績。出走数こそ少ないものの、牝馬が17年・18年連覇のエネイブルら3勝をあげ、各年齢で連対率が非常に高い。昨年以外は毎年連対馬が出ている。

 牡馬では4歳馬が昨年のソットサスが勝利し、複勝率25.0%でトップ。5歳馬は一昨年のヴァルトガイストが優勝。3歳馬は勝ち星がないものの、近2年で1頭ずつ3着以内に入っている。

 表3は近5年で3着以内に好走した馬の前走レース成績。前走レースでは愛チャンピオンS組が昨年のソットサスら2勝、2着1回。ヨークシャーオークス組が17年エネイブルが勝利し、2着2回。フォワ賞組は一昨年のヴァルトガイストが優勝し、2・3着1回ずつとなっている。

 前走着順では、16年2着ハイランドリール以外はいずれも前走で4着以内に入っていた。前走5着以下からの巻き返しは厳しい。

 また近3年の3着以内馬9頭中5頭は前走もパリロンシャン競馬場のレースを使われていた。前走で同じコースを走ったアドバンテージは大きいと推測される。

 表4は近5年の調教国別成績。地元フランス調教馬の出走数が多いものの、連対率・複勝率で大きく上回るのがイギリス調教馬。昨年は3着以内に入らなかったものの、少数精鋭で挑戦する傾向があり、今年も注目だ。

 フランス調教馬は一昨年のヴァルトガイスト(9番人気)、昨年のソットサス(5番人気)と伏兵馬が勝利している。ただ、一昨年のヴァルトガイストは前年4着、昨年のソットサスは前年3着と上位に入っていた。

 アイルランド調教馬はシャンティイ競馬場で行われた2016年に上位3着までを独占したものの、近4年では好走馬が出ていない。

 最後に日本馬は近5年で8頭が挑戦しているものの、すべて着外と厳しい結果となっている。

 表5はパリロンシャン競馬場で行われた近3年における3着以内馬の向正面ならびに直線入口での位置取りをまとめたもの。

 18年は追い込んだシーオブクラスが2着、中団から差したクロスオブスターズが3着と好走。一昨年は好位から抜け出したエネイブルをヴァルトガイストがゴール前で差し切って優勝。昨年はかなりスローの流れとなり、勝利したソットサスはじめ内でロスなく運んだ3頭が上位を独占した。

 今年は出走頭数が14頭以下になる見込みで、フォワ賞やニエル賞といった前哨戦が仮柵を設けて行われている。ただし、本番では仮柵が外され、直線入口から内ラチ側にコース幅6m分の進路が広がるオープンストレッチで施行される。直線で内に入って脚を伸ばすことが想定され、内枠スタートで道中も内ラチ沿いで脚を溜めた馬が恵まれて好走するパターンが十分に考えられる。

 最後に表6は過去の凱旋門賞で5着以内に入った日本馬と今年出走予定馬の日本馬2頭を並べたもの。これまで日本馬による勝利はなく、4度の2着が最高成績となっている。

 上位に入った日本馬に共通しているのは、本番と同じコースの前哨戦で好勝負している点だ。前哨戦でコース適性の高さを見せていた馬が現地での環境にも対応し、本番でも好走する流れとなっている。

 その点でクロノジェネシスは前哨戦を使っていないのは割引か。ただし、父は2004年の凱旋門賞勝ち馬のバゴで、好走できる血統的な下地はある。久々も苦にしないタイプだけにジンクスを打ち破ってほしい。

 前哨戦のフォワ賞を逃げ切ったディープボンド。少頭数で楽に逃げられた面はあったが、ゴール前でもう一伸びする強さを見せた。すんなりと先行できるようだと、父キズナを超える好走も十分にありえるだろう。