ヨーク競馬場はロンドンから約300km、スコットランドにほど近いイングランド北部にあり、周辺地域はローマ帝国支配下の頃から競馬が盛んな土地柄であったと伝わっている。ヨーク競馬場で初めてレースが開催されたのは1731年のことだが、それ以前にも様々な地域で競馬の記録が残されており、牡馬クラシック3冠目のセントレジャーを開催するドンカスター競馬場や、世界一の障害レースと評されるグランドナショナルの舞台であるエイントリー競馬場など、イングランド北部地域にはロンドン近郊より多くの競馬場が点在している。
ヨーク競馬場も初開催から23年後の1754年にグランドスタンドを竣工するなど、当初は活気を見せていた。しかし、競馬が盛んな地域性もあって周辺との競争から次第に取り残されるようになると、運営委員会を立ち上げて1849年にG1ヨークシャーオークス(2400m)を創設するなどテコ入れを図っていった。
そうした取り組みの中で1843年に始まった「イボア・フェスティバル」は例年8月、4日間にわたって行われるヨーク競馬場最大の開催で、初日にG1インターナショナルS(2000m)、2日目にヨークシャーオークス、3日目にはG1ナンソープS(1000m)、最終日にハンデ戦として欧州最高賞金を誇り、開催の端緒となったイボアハンデキャップ(2800m)らを施行。とりわけ、近年のインターナショナルSは充実したメンバーが集う傾向にあり、2015年には年間最高レベルレースに認定された。