06/18 13:20
仏オークス馬スパークリングプレンティ、16億円で落札も直後に買い戻し
プロフィール
日本ではオークス馬ソウルスターリングの母として有名なスタセリタだが、現役時代には仏オークスをはじめ欧米でG1レース6勝の偉大な実績を残した。これまで日本に数多くの牝馬が繁殖用に輸入されてきたが、それらの中でも最高ランクの名牝といえるだろう。
スタセリタは2歳戦をデビュー勝ちの1戦で終え、明け3歳の2月から本格的に実戦を重ねていった。始動戦を2馬身差で楽々と逃げ切ると、次戦からC.ルメールを鞍上に固定してリステッドを4馬身差の逃げ切り。2か月の間隔を空けてサンタラリ賞で重賞に初挑戦し、今度は6馬身差とさらに後続を寄せつけずにG1制覇を果たす。
サンタラリ賞の後にはアメリカ人投資家のM.シュワルツ氏がスタセリタの所有権を購入。従来の馬主と半持ちの形で仏オークスへ向かうことになった。そのオークスではデビュー戦以来の控える形となるも、他馬とのスピードの違いは歴然。抜群の手応えで2番手を追走すると、待ち切れないとばかり直線早々に抜け出して4馬身差の圧勝を収めた。デビューから5連勝で2着に合計18馬身差をつける傑出した能力は、同じく無傷の5連勝で仏オークスを制した前年のザルカヴァに重ねられ、JC.ルジェ調教師も秋はヴェルメイユ賞から凱旋門賞というザルカヴァと同じ道を行かせると明言した。
夏場の休養からヴェルメイユ賞で再始動したスタセリタは、弾みをつけて凱旋門賞へ駒を進めるはずだったが、いきなり出鼻を挫かれることになる。下馬評は英国の強豪ダーレミとの一騎打ち。スタセリタは自身のペースメーカーを見ながら3番手から抜け出しを図ったが、5番手から追い上げるダーレミに最後の一完歩で捕まった。ところが、ダーレミに走行妨害があり5着へ降着。不利を受けていないスタセリタが1着に繰り上がった。
裁定は物議を呼んだが、当時のフランスはカテゴリー2、英国はカテゴリー1と異なる降着ルールを採用していたことが原因にある。フランスは2018年にカテゴリー1(日本は2013年にカテゴリー2からカテゴリー1)へ降着ルールが変更されており、ルール次第ではスタセリタに初黒星がつく内容だった。結果的に無敗を守ったスタセリタだが、凱旋門賞の2日前に主戦が骨折するなど流れを失い、大一番では7着と言い訳なしの黒星を喫してシーズンを終えた。
翌年はシュワルツ氏が残りの権利を買い上げ、ルジェ厩舎と主戦契約を結んだC.スミヨンが凱旋門賞から引き続きスタセリタの手綱を任されることになった。しかし、G1勝ちはジャンロマネ賞のみで6戦2勝に終わり、5歳の初戦を3着で終えるとシュワルツ氏の意向によりアメリカへ渡り、1戦した後にC.ブラウン厩舎へ移籍した。
新天地では2戦目のビヴァリーD.Sで1年ぶりの勝利。続くフラワーボウル招待も連勝して勢いを取り戻したかに思われた。しかし、フラワーボウル招待のレース中に湿り気を帯びた芝のキックバックを左目に受けて真菌に感染。次戦のBCフィリー&メアターフには患部をカップで保護して臨んだが、直線で進路を失う不運もあって10着に大敗し、これが現役最後のレースとなった。
スタセリタはBC直後に社台ファームの吉田照哉氏に売却されて繁殖入りし、2番仔のソウルスターリングがオークス馬となったほか、ディープインパクトとの間に生んだ3番仔のシェーングランツもアルテミスSを制すなど、母としても優秀な成績を残している。
生年 | 2006 |
---|---|
性別 | 牝 |
毛色 | 黒鹿毛 |
父 | Monsun |
母 | Soignee |
母父 | Dashing Blade |
調教師 | C.ブラウン |
生産者 | Jean-Pierre-Joseph Dubois |
馬主 | Martin S. Schwartz |
通算成績 | 18戦10勝[10-2-2-4] |
開催日 | 場所 | レース名 | 動画 | 着順 | 騎手 | トラック | 距離 | 馬場状態 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2011/11/04 | チャーチルダウンズ | ブリーダーズカップフィリー&メアターフ(G1) | 10 | R.ドミンゲス | 芝 | 2200 | 稍重 | |
2011/10/01 | ベルモントパーク | フラワーボウル招待(G1) | 1 | R.ドミンゲス | 芝 | 2000 | 重 | |
2011/08/13 | アーリントンパーク | ビヴァリーD.ステークス(G1) | 1 | R.ドミンゲス | 芝 | 1900 | 重 | |
2011/07/02 | モンマスパーク | ユナイテッドネーションズステークス(G1) | 3 | J.ブラーヴォ | 芝 | 2200 | 良 | |
2011/06/13 | ロンシャン | ラクープ(G3) | 3 | C.ルメール | 芝 | 2000 | 稍重 | |
2010/12/12 | シャティン | 香港カップ(G1) | 8 | C.ルメール | 芝 | 2000 | 良 | |
2010/10/03 | ロンシャン | オペラ賞(G1) | 2 | C.スミヨン | 芝 | 2000 | 重 | |
2010/08/22 | ドーヴィル | ジャンロマネ賞(G1) | 1 | C.スミヨン | 芝 | 2000 | 良 | |
2010/07/31 | グッドウッド | ナッソーステークス(G1) | 2 | C.スミヨン | 芝 | 1980 | 良 | |
2010/06/14 | ロンシャン | ラクープ(G3) | 1 | C.スミヨン | 芝 | 2000 | 稍重 | |
2010/05/23 | ロンシャン | イスパーン賞(G1) | 4 | C.スミヨン | 芝 | 1850 | 良 | |
2009/10/04 | ロンシャン | 凱旋門賞(G1) | 7 | C.スミヨン | 芝 | 2400 | 良 | |
2009/09/13 | ロンシャン | ヴェルメイユ賞(G1) | 1 | C.ルメール | 芝 | 2400 | 良 | |
2009/06/14 | シャンティイ | 仏オークス(G1) | 1 | C.ルメール | 芝 | 2100 | 稍重 | |
2009/05/17 | ロンシャン | サンタラリ賞(G1) | 1 | C.ルメール | 芝 | 2000 | 重 | |
2009/03/14 | サンクルー | ローズドゥメ賞(L) | 1 | C.ルメール | 芝 | 2100 | 重 | |
2009/02/11 | トゥールーズ | 条件戦 | 1 | I.メンディザバル | 芝 | 2000 | 不良 | |
2008/10/20 | サロンドプロヴァンス | 条件戦 | 1 | F.ブロンデル | 芝 | 1800 | 重 |
距離 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
~1400m | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
1401m~1800m | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 100% | 100% | 100% |
1801m~2100m | 8 | 2 | 1 | 2 | 13 | 62% | 77% | 85% |
2101m~ | 1 | 0 | 1 | 2 | 4 | 25% | 25% | 50% |
馬場状態 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
良馬場 | 2 | 1 | 1 | 3 | 7 | 29% | 43% | 57% |
稍重馬場 | 2 | 0 | 1 | 1 | 4 | 50% | 50% | 75% |
重馬場 | 5 | 1 | 0 | 0 | 6 | 83% | 100% | 100% |
不良馬場 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 100% | 100% | 100% |