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  • ピルサドスキー

    Photo by Getty Images

プロフィール

ピルサドスキーは英国のM.スタウト厩舎から2歳秋にデビューしたが、3歳7月と初勝利まで時間を要し、3歳シーズを終えた時点で7戦2勝という目立たない競走馬だった。しかし、7か月の休養から4歳初戦のゴードンリチャーズSで重賞に初挑戦すると、同期の僚馬シングスピールに3馬身差をつけられながらも2着と結果を出し、続くブリガディアジェラードSではついに重賞ウィナーの仲間入り。その後、秋に向かって晩生の血が騒ぎはじめる。

2か月後にロイヤルホイップSでは、香港での死線をさまよう落馬事故から復帰したW.スウィンバーンを鞍上に迎えて2度目の重賞制覇。2勝目を挙げた3歳の7月から1年1か月ぶりにピルサドスキーの手綱を取った名手は集中力を増した姿に確かな成長を感じ取り、ここからいよいよ快進撃が始まる。

次戦はドイツに遠征してバーデン大賞でG1初制覇を飾ると、続くフランスの凱旋門賞ではエリシオに5馬身差をつけられたものの2着で存在をアピール。すると今度はカナダへ飛んでBCターフに参戦し、春先に完敗したシングスピールを2着退ける勝利で本格化を疑いのないものとした。1か月後のジャパンCではシングスピールが優勝、エリシオは約1馬身半差の3着(同着)に続き、ピルサドスキーの実力も相対的に裏づけられる結果となる。

4歳秋で素質を開花させたピルサドスキーだが、明け5歳を迎えても成長は続いていた。この年、スウィンバーンは体重の調整に苦しみ一線から退く決断をしたが、ピルサドスキーの復帰戦を前に調教で跨った際には後悔の念を抱くほどだったと後に語っている。新たな鞍上にM.キネーンを迎えたピルサドスキーは半年ぶりの実戦となったガネー賞でまたしてもエリシオの後塵を拝し、続くハードウィックSでは1番人気を裏切り2着ともたつく一方、3戦目のエクリプスSでは圧倒的な1番人気に推されていたボスラシャムの騎乗ミスにスポットライトを奪われながらも、英ダービー勝ちから臨んだベニーザディップを振り切って3度目のG1制覇を飾った。

そして、次戦のキングジョージには1990年代最高と評されるメンバーが集結。BCターフで下したスウェインに勝利を譲り2着だったが、3着のエリシオには初めて先着し、シングスピールも再び4着に退けて現役屈指の実力を改めて証明した。その後はひと息入れてアイリッシュチャンピオンSを楽勝。凱旋門賞ではパントルセレブルの豪脚に屈しながらも2年連続の2着を確保し、さらに英チャンピオンSでG1レース5勝目とハイレベルかつ堅実に活躍し続けた。

そうしてジャパンCをラストランに定めたピルサドスキーは、パドックで丸太のような隆々とした馬体を誇示する一方、馬っ気を出すなど血気盛んなところも見せながら、その年の年度代表馬に輝くエアグルーヴとの叩き合いにクビ差で勝利。バーデン大賞以降の1年余りで5か国のG1レースを制し、そのうち最後の2か月だけで3勝とピークの状態で現役生活に終止符を打った。

引退後は日本で種牡馬入りしたピルサドスキーだが、初年度産駒が2歳時に未勝利など全く振るわず、2003年にはアイルランドのナショナルスタッドへ転出。母の父として2013年のメルボルンC優勝馬フィオレンテを輩出したものの、種牡馬としてのキャリアは失敗に終わった。なお、ピルサドスキーの7歳下の半妹ファインモーションは2002年に秋華賞とエリザベス女王杯を連勝するなど、2003年にかけて重賞5勝の大活躍を披露している。

基本情報

生年 1992
性別
毛色 鹿毛
Polish Precedent
Cocotte
母父 Troy
調教師 M.スタウト
生産者 Ballymacoll Stud Farm
馬主 Executors Of The Late Lord Weinstock
通算成績 22戦10勝[10-6-2-4]

競走成績

開催日 場所 レース名 動画 着順 騎手 トラック 距離 馬場状態
1997/11/23 東京 ジャパンカップ(G1) 1 M.キネーン 2400
1997/10/18 ニューマーケット 英チャンピオンステークス(G1) 1 M.キネーン 2000
1997/10/05 ロンシャン 凱旋門賞(G1) 2 M.キネーン 2400
1997/09/13 レパーズタウン アイリッシュチャンピオンステークス(G1) 1 M.キネーン 2000
1997/07/26 アスコット キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス(G1) 2 M.キネーン 2400
1997/07/05 サンダウン エクリプスステークス(G1) 1 M.キネーン 2010 稍重
1997/06/20 アスコット ハードウィックステークス(G2) 2 M.キネーン 2400
1997/04/27 ロンシャン ガネー賞(G1) 3 M.キネーン 2100
1996/10/26 ウッドバイン ブリーダーズカップターフ(G1) 1 W.スウィンバーン 2400 稍重
1996/10/06 ロンシャン 凱旋門賞(G1) 2 W.スウィンバーン 2400 稍重
1996/09/01 バーデンバーデン バーデン大賞(G1) 1 W.スウィンバーン 2400
1996/08/17 カラ ロイヤルホイップステークス(G3) 1 W.スウィンバーン 2000
1996/06/18 アスコット プリンスオブウェールズステークス(G2) 8 P.エデリー 2000
1996/05/28 サンダウン ブリガディアジェラードステークス(G3) 1 P.エデリー 2010 稍重
1996/04/27 サンダウン ゴードンリチャーズステークス(G3) 2 K.ダーレイ 2000
1995/09/24 アスコット ハンデ戦 3 K.ダーレイ 2400 稍重
1995/07/26 グッドウッド ハンデ戦 1 W.スウィンバーン 2400
1995/07/12 ニューマーケット ハンデ戦 1 K.ダーレイ 2000
1995/06/22 アスコット ハンデ戦 17 K.ダーレイ 2400
1995/05/21 リポン 未勝利戦 2 D.マッケオン 1800
1994/10/11 レスター 未勝利戦 8 R.コクラン 1600
1994/09/27 ニューマーケット 未勝利戦 6 W.スウィンバーン 1600

距離別

距離 1着 2着 3着 4着以下 出走回数 勝率 連対 3着内率
~1400m 0 0 0 0 0 0% 0% 0%
1401m~1800m 0 1 0 2 3 0% 33% 33%
1801m~2100m 6 1 1 1 9 67% 78% 89%
2101m~ 4 4 1 1 10 40% 80% 90%

馬場状態別

馬場状態 1着 2着 3着 4着以下 出走回数 勝率 連対 3着内率
良馬場 7 4 0 4 15 47% 73% 73%
稍重馬場 3 1 1 0 5 60% 80% 100%
重馬場 0 1 1 0 2 0% 50% 100%
不良馬場 0 0 0 0 0 0% 0% 0%
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