プロフィール
シガーやアラジ、シアトリカルなどを擁し、胸に大きく「AP」のアルファベットが描かれた勝負服で1980~90年代の米競馬を席巻した馬主のアレン・ポールソン氏が、自ら生産した晩年の大傑作アゼリ。アレン氏は愛馬のデビューを待たず2000年7月にこの世を去ったものの、息子のマイケル氏が実質的なオーナーとなり、3歳シーズンも終わろうとしている2001年11月にようやく初陣を迎えた。
単勝17.3倍の低評価ながらもダート6ハロンのデビュー戦を6馬身差で圧勝したアゼリは、距離を延ばしながら明け4歳まで3連勝で重賞に初挑戦する。そのラカナダSでは2着に敗れてしまうが、そこから先は1年半にわたる怒とうの11連勝でスポットライトを集めていった。
アゼリは初黒星から1か月後のサンタマルガリータ招待Hで重賞初制覇をG1で飾ると、アップルブロッサムH、ミレディブリーダーズカップH、そしてヴァニティHとG1レースを4連勝。さらにG2を2連勝して臨んだBCディスタフを5馬身差の逃げ切りで圧勝し、二冠馬ウォーエンブレムらを抑えて2002年のエクリプス賞年度代表馬と最優秀古馬牝馬に輝く。牝馬の年度代表馬受賞はオールアロング(1983年)、レディーズシークレット(1986年)に続く史上3頭目の快挙だった。
アゼリの快進撃は女王として迎えた5歳も続き、BCディスタフから半年ぶりの実戦となったアップルブロッサムHを皮切りに、前年と同じローテーションを踏襲して4レースを連覇する。しかし、大目標のBCを直前に控えて自己最高のハンデ128ポンド(約58kg)を負担したG2で出遅れると、追い上げも及ばず2着(3位入線から繰り上げ)に敗れて連勝が止まってしまう。その後に屈腱炎を発症してBC回避を余儀なくされたばかりか、L.デセルー調教師により引退が発表された。
しかし、複数の獣医に所見を求めて回復の見込みを得たオーナーが、アゼリをD.ルーカス調教師の元へ転厩させる。アゼリは半年後のアップルブロッサムHで無事に復帰すると、見事に3連覇を果たして健在をアピール。次戦ではデビュー当初に経験して以来となる8ハロン以下の距離や牡馬との初対戦などで3連敗を喫するが、ゴーフォーワンドHとスピンスターSを連勝して巻き返す。
そして、ルーカス師は「すでにBCディスタフは勝った。これまで成し遂げられなかった偉業を達成したい」とアゼリをBCクラシックに差し向ける。牝馬として史上3頭目の挑戦は驚きとともに注目を集めたものの、ゴーストザッパーら牡馬の壁は厚く、5着に敗れて現役を退くことになった。この年、3年連続となるエクリプス賞最優秀古馬牝馬に選出。G1レースを通算11勝したアゼリの生涯獲得賞金407万9820ドルは、当時の北米牝馬として新記録を樹立した。2010年には米競馬殿堂入りを果たしている。
繁殖入りしたアゼリはG2勝ちのワインプリンセスら3頭の産駒を米国に残して2009年のセールに上場され、日本のノーザンファームに225万ドル(当時の為替レートで約2億円)で購入された。ディープインパクトとの間に生まれたロイカバードが京都新聞杯など重賞戦線で活躍を見せており、自身に迫る産駒の誕生が待たれている。
生年 | 1998 |
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性別 | 牝 |
毛色 | 栗毛 |
父 | Jade Hunter |
母 | Zodiac Miss |
母父 | Ahonoora |
調教師 | D.ルーカス |
生産者 | Allen E. Paulson |
馬主 | Allen E. Paulson Living Trust |
通算成績 | 24戦17勝[17-4-0-3] |
開催日 | 場所 | レース名 | 動画 | 着順 | 騎手 | トラック | 距離 | 馬場状態 |
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2004/10/30 | ローンスターパーク | ブリーダーズカップクラシック(G1) | 5 | P.デイ | ダート | 2000 | 良 | |
2004/10/10 | キーンランド | スピンスターステークス(G1) | 1 | P.デイ | ダート | 1800 | 良 | |
2004/08/27 | サラトガ | パーソナルエンスンハンデキャップ(G1) | 2 | P.デイ | ダート | 2000 | 良 | |
2004/08/01 | サラトガ | ゴーフォーワンドハンデキャップ(G1) | 1 | P.デイ | ダート | 1800 | 良 | |
2004/06/19 | ベルモントパーク | オグデンフィップスハンデキャップ(G1) | 4 | P.デイ | ダート | 1700 | 良 | |
2004/05/31 | ベルモントパーク | メトロポリタンハンデキャップ(G1) | 8 | P.デイ | ダート | 1600 | 良 | |
2004/05/01 | チャーチルダウンズ | ヒューマナディスタフハンデキャップ(G1) | 2 | M.スミス | ダート | 1400 | 良 | |
2004/04/03 | オークローンパーク | アップルブロッサムハンデキャップ(G1) | 1 | M.スミス | ダート | 1700 | 良 | |
2003/09/28 | サンタアニタパーク | レディーズシークレットブリーダーズカップハンデキャップ(G2) | 2 | M.スミス | ダート | 1700 | 良 | |
2003/08/10 | デルマー | クレメントL.ハーシュハンデキャップ(G2) | 1 | M.スミス | ダート | 1700 | 良 | |
2003/06/21 | ハリウッドパーク | ヴァニティハンデキャップ(G1) | 1 | M.スミス | ダート | 1800 | 良 | |
2003/05/24 | ハリウッドパーク | ミレディブリーダーズカップハンデキャップ(G1) | 1 | M.スミス | ダート | 1700 | 良 | |
2003/04/05 | オークローンパーク | アップルブロッサムハンデキャップ(G1) | 1 | M.スミス | ダート | 1700 | 良 | |
2002/10/26 | アーリントンパーク | ブリーダーズカップディスタフ(G1) | 1 | M.スミス | ダート | 1800 | 稍重 | |
2002/10/02 | サンタアニタパーク | レディーズシークレットブリーダーズカップハンデキャップ(G2) | 1 | M.スミス | ダート | 1700 | 良 | |
2002/08/11 | デルマー | クレメントL.ハーシュハンデキャップ(G2) | 1 | M.スミス | ダート | 1700 | 良 | |
2002/06/22 | ハリウッドパーク | ヴァニティハンデキャップ(G1) | 1 | M.スミス | ダート | 1800 | 良 | |
2002/05/25 | ハリウッドパーク | ミレディブリーダーズカップハンデキャップ(G1) | 1 | M.スミス | ダート | 1700 | 良 | |
2002/04/06 | オークローンパーク | アップルブロッサムハンデキャップ(G1) | 1 | M.スミス | ダート | 1700 | 良 | |
2002/03/10 | サンタアニタパーク | サンタマルガリータ招待ハンデキャップ(G1) | 1 | M.スミス | ダート | 1800 | 良 | |
2002/02/09 | サンタアニタパーク | ラカナダステークス(G2) | 2 | M.スミス | ダート | 1800 | 良 | |
2002/01/12 | サンタアニタパーク | 条件戦 | 1 | M.スミス | ダート | 1600 | 良 | |
2001/12/17 | ハリウッドパーク | 条件戦 | 1 | M.スミス | ダート | 1300 | 良 | |
2001/11/01 | サンタアニタパーク | 未勝利戦 | 1 | M.スミス | ダート | 1200 | 良 |
距離 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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~1400m | 2 | 1 | 0 | 0 | 3 | 67% | 100% | 100% |
1401m~1800m | 15 | 2 | 0 | 2 | 19 | 79% | 89% | 89% |
1801m~2100m | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 | 0% | 50% | 50% |
2101m~ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
馬場状態 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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良馬場 | 16 | 4 | 0 | 3 | 23 | 70% | 87% | 87% |
稍重馬場 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 100% | 100% | 100% |
重馬場 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
不良馬場 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |