現地9日にシャティン競馬場で行われる香港国際競走。今年も香港競馬を熟知する3人の地元関係者に、各レースの予想を聞きました。

香港デイリーニュース（カメラマン）Lo Chun Kitさん（以下Kit）
アップルデイリー社（記者）Amy Chanさん（以下Amy）
レーシングワールド（カメラマン）Woody Leungさん（以下Woody）

■香港カップ

[kit]
◎ディアドラ
○サングレーザー
▲ステファノス

このレースはタイムワープとグロリアスフォーエバーの2頭がいるので、ペースが速くなって差しや追い込みが有利になります。また、香港馬ワーザーが右前脚の故障で回避し、強敵がいなくなりました。ディアドラは3月に遠征したドバイターフでは3着に入り、海外遠征経験もあります。府中牝馬Sを勝った後、天皇賞に出走せず、香港Cに専念することで体力の消耗もなく、良いコンディションで臨めそうです。サングレーザーは8月の札幌記念で、ダービー馬マカヒキ、エリザベス女王杯を勝っているモズカッチャンを下して優勝。天皇賞（秋）も2着に入りました。モレイラ騎手の信頼度も高いです。

[Amy]
◎タイムワープ
○グロリアスフォーエバー
▲サングレーザー

タイムワープは昨年の優勝馬で今年はG1香港ゴールドCも勝っています。前々走のササレディースパースを勝つまで結果が出ませんでしたが、調子は良さそうなので本命です。グロリアスフォーエバーは昨シーズンからの連勝以来、すっかりと中距離馬に成長しました。 シャティンの2000mの実績もあるので期待したいです。サングレーザーは16戦7勝、3回のG2勝利。天皇賞秋ではレイデオロの2着に好走した実績は素晴らしいです。

[Woody]
◎サングレーザー
○グロリアスフォーエバー
▲タイムワープ

サングレーザーの前走は惜しい2着。シャティン競馬場を把握しているJ.モレイラ騎手が乗ることは大きいです。グロリアスフォーエバーは今シーズンになって力を付けてきた1頭です。初めてG1に出ますが期待しています。昨年の優勝馬タイムワープはいつ走るか分からないタイプ。要注意です。

■香港マイル

[kit]
◎ペルシアンナイト
○ビューティージェネレーション
▲ヴィブロス

強敵ビューティージェネレーションは疲労が回復せず、前哨戦の後も数日間調教停止だったこともあって、ペルシアンナイトが勝つ可能性は高くなりました。ビューティージェネレーションは年度代表馬で香港では一番強いマイラーです。9月から新しい競馬シーズンになってセレブレーションC、シャティンT、香港ジョッキークラブマイルと重賞を3連勝。しかし、疲れが抜けていない可能性があるので2番手評価まで。ヴィブロスは昨年ドバイターフを鮮やかに差し切って優勝。ビュイック騎手も信頼できます。

[Amy]
◎ビューティージェネレーション
○フィフティーフィフティー
▲ペルシアンナイト

ビューティージェネレーションは昨年の優勝馬で3回のG1勝利の実績があります。今シーズンの3戦では無敗の3連勝。香港の年度代表馬で、世界で最も高い評価を得ている芝のマイラーです。フィフティーフィフティーはクラス3からの急速な進歩の後、G1の香港スチュワーズCとクイーンズシルバージュビリーCで好走しました。今季はG2プレミアボウルで2着に健闘しています。ペルシアンナイトは昨年のマイルCSを勝利し、今年も同じレースで僅差の2着。マイル実績があるので期待したいです。

[Woody]
◎ビューティージェネレーション
○シンガポールスリング
▲ワンマスター

ビューティージェネレーションは今季に入って3連勝（昨季から4連勝）と絶好調。この中では1番強いと思います。シンガポールスリングは今季は2戦して勝ってはいませんが、成績は安定しています。徐々に力を付けてきています。色々な国のレースを経験しているワンマスターは、G1フォレ賞を勝っていることから実力はあると思います。

■香港スプリント

[kit]
◎ホットキングプローン
○ミスタースタニング
▲ビートザクロック

4つのG1レースの中で香港馬の勝つ可能性が最も高いのが、香港スプリントです。ホットキングプローンは前哨戦では強い勝ち方を見せてくれています。昨年の勝ち馬ミスタースタニングは徐々に復調してきています。要注意です。ビートザクロックは前哨戦で3着に入りました。重賞ではいつも2、3着に好走しているので侮れません。

[Amy]
◎ホットキングプローン
○ミスタースタニング
▲ビートザクロック

新しい世代で初めてG1に挑戦することにワクワクします。ホットキングプローンは10戦9勝、重賞3連勝中。近走では、JCスプリントでミスタースタニングなどの強豪を破っています。ミスタースタニングも安定した実力を見せています。前走のJCスプリントでは2着に敗れましたが、5ポンドの斤量差があったので仕方ない敗北です。ビートザクロックは春のチェアマンズスプリントプライズでも3着に入った実績があります。JCスプリントの3着は7か月の休養明けのレースだったので、今回は問題ありません。

[Woody]
◎ホットキングプローン
○ビートザクロック
▲ミスタースタニング

このメンバーの中で最も勢いのある馬がホットキングプローン。現在も4連勝中なので実力通りに走れれば一番強いでしょう。ビートザクロックは前哨戦では3着に敗れましたが、内容的には問題ありません。調子も良さそうなので期待はできると思います。ミスタースタニングは昨年のこのレースで勝って以来、勝利から遠のいていますが、大崩れもなく安定して上位に来ています。レースぶりも一流です。

■香港ヴァーズ

[kit]
◎ヴァルトガイスト
○リスグラシュー
▲サルウィン

本命はヴァルトガイスト。地元フランスでエドヴィル賞、シャンティイ大賞、サンクルー大賞、フォワ賞と芝2400メートルの重賞を4連勝。このレースでは一番強いです。リスグラシューはエリザベス女王杯の時に強い勝ち方を見せたので、ここでも上位に入りそう。サルウィンはコロネーションCでクラックスマンのアタマ差2着は評価できます。

[Amy]
◎パキスタンスター
○リスグラシュー
▲エグザルタント

パキスタンスターは春にクイーンエリザベス2世C、チャンピオンズ＆チャターCとG1を連勝。今シーズンは成績が振るいませんが、実績から期待できます。リスグラシューは前走のエリザベス女王杯でG1初優勝。その勢いでここでも期待できる。エグザルタントは香港を代表するステイヤーでG3を2勝。チャンピオンズ＆チャターCでも2着に好走しています。近走のジョッキークラブCでも2着に好走するなど、安定感があります。

[Woody]
◎ヴァルトガイスト
○ラトローブ
▲ミラージュダンサー

フランスでの実績があるヴァルトガイストは、このメンバーの中では最もレベルが高いと思います。ラトローブは8戦2勝ですがG1愛ダービーを勝っています。世界のG1レースで好走しているので、ここでも大駆けがあるかもしれません。ミラージュダンサーも常に安定した成績を残しています。R.ムーア騎手との相性も良いみたいですね。