クローリー騎手が20日間の騎乗停止、キングジョージ制覇の陰で大きな代償
2023年08月02日 14:50
フクムに騎乗してキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(7月29日)を制したJ.クローリー騎手が、ウエストオーバーと叩き合った際にムチの使用制限を大きく超過し、20日間の騎乗停止と1万ポンド(約183万円)の重い処分を科された。英競馬メディア『racingpost.com』などが現地1日に報じている。
英国競馬統括機構(BHA)はキングジョージでフクムとウエストオーバーが直線で競り合った際、クローリー騎手が制限を3回超える9回のムチを使用したと判断した。また、すでに8日間の騎乗停止処分を受けていたウエストオーバーのR.ホーンビー騎手は、キングジョージでもムチの使用制限を1回超過したものの、英国内で200戦以上してきた中でムチの使用ルールに反したことがなかったため、騎乗停止期間を4日間とする減免措置が取られた。
この処分により、クローリー騎手は英インターナショナルステークスなどが行われるヨーク競馬場のイボア開催で騎乗できなくなった。なお、英インターナショナルSにはプリンスオブウェールズステークスを圧勝したモスターダフが出走する可能性もある。
処分が発表される以前に、クローリー騎手は現地放送局『ITV』のインタビューに対して「我々はムチのルールやそれらの重要性を解っているし、心に留めているけど、騎乗馬のモメンタムやリズムをコントロールし続け、妨害行為を回避するためもあるんだ」「ゾーンに入ってしまったら、シナリオ通りにムチを打つ回数を数えるなどほぼ不可能さ」
「高速の車をトラックで運転していると想像してみなよ。周りを車に囲まれながら、凹凸を踏まないようにね」「その中で突然、数えきれないようなことをするのさ」「ルールはルールだし、我々は受け入れているけど、自分が受けることになる罰が見合ったものとは思わないし腑に落ちないね」とやるせない思いを口にしていた。
しかし、BHAのスポークスマンは「ほとんど正当化できない」「スポーツの見識を守り、接戦における公平性を維持する」ために重い罰が必要と一蹴している。