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【凱旋門賞】シンエンペラー矢作師「奇跡的な確率を成し遂げた馬だからこそ…」/一問一答

2024年10月05日 14:44

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 凱旋門賞(G1、芝2400メートル、6日=パリロンシャン)にシンエンペラー(牡3)を送り出す矢作芳人調教師(63)が4日、フランス・シャンティイのフランスギャロ事務所で会見に臨んだ。一問一答は以下の通り。

   ◇   ◇   ◇

-今朝の馬の様子は

矢作師 愛チャンピオンSを使ったことで、使った後、(馬が)非常に良くなっています。今朝見た馬体も非常にフィットしているなと感じました。

-今朝のパリロンシャンは重馬場。日曜もおそらくソフトな馬場になりそう。今までの日本馬はこのような馬場に苦戦していたが、シンエンペラーはどうか

昨日、今日と馬場は把握していますけども、彼の走り方から、この馬場は向いていると思って連れてきました。やはりそこはフランス産馬であり、ペディグリー(血統)の後押しもありますので、日本馬とは違うと考えています。

-アルカナのセリでどうしても欲しいというので買ったと聞いているが

(シンエンペラーは)そのセリの最高額馬でした。私はセリの出場馬をほとんど実際に見ますけども、あのセリではこの馬1頭が抜けていました。ですから、どうしても欲しかった馬ですし、オーナーにも強くすすめて、オーナーもこの馬をどうしてもほしいということで。この馬を手に入れられたことは、非常にラッキーだったと思っています。

-これが(師にとって)2度目の挑戦となる。前回のステイフーリッシュと比べてどうか。

2年前のステイフーリッシュ(14着)と比べて、圧倒的にチャンスが大きいと思っています。それは、馬場に対する適性が非常に高いからです。

-前走愛チャンピオンS(3着)の競馬は

愛チャンピオンSの時点では、まだ馬の状態が上がりきっていなかったので、その中であのメンバーとの戦いは、正直厳しいものがあるかなと思っていました。ですから、3着という結果にはとても満足しています。

-愛チャンピオンS後の馬の調整は

アイルランドの競馬では、馬場が良く、それほど大きな負担にならなかったです。疲れも大きくなく、すぐに凱旋門賞に向けて立ち上げることができました。その後、順調に馬の状態は上がっていると思います。

-調教の強度は。厳しい調教をしたのか、それとも疲れを取るような調教だったのか

どちらでもなく、バランスを取った調整です。先週の金曜に厳しい調教をし、今週に関しては割とリラックスさせるような調教で、競馬に臨もうと思っています。

-2日に同じ藤田オーナーのフォーエバーヤングでジャパンダートクラシックを勝利した。現在の心境は

そのことがあったので、フォーエバーヤングの方が緊張していました。結果も出せましたし、今回は逆に楽しく、うきうきしながらレースに臨みたいと思います。

-凱旋門賞への思いは

最近、日本人はみんな「凱旋門賞、凱旋門賞」と言うので、ちょっと熱は冷めかけてきていますけども(笑い)、50年前から目標にしてきたレースなので、その頃のことを思うと、本当に感慨深いものがあります。

-今年の凱旋門賞は混戦模様。相手関係はどう見ている

その混戦模様という言葉がぴったりだなと。飛び抜けた馬はいないと思いますけども、非常に有力とされる馬が数多くいて、どの馬に1頭に(相手を)絞れるというのはない感じです。粒ぞろいの混戦になると思いますので、勝つためには運も必要かなと思います。

-世界中で勝っており、中東では素晴らしい成績を収めているが、それでも凱旋門賞は難しいのか

そうですね。現実に私はヨーロッパで勝ったことがないので、究極に難しいレースだと思いますけれども、だからこそ挑戦する意義があると思います。

-どうして凱旋門賞を勝つのが難しいのか。

私が聞きたいです(笑い)。

-凱旋門賞のどこが難しいのか。馬場なのか、相手関係なのか。

ヨーロッパ調教馬以外が勝っていないというのが現実で、ヨーロッパの2400メートル路線というのは一番強い馬がそろうところ。そのメンバーレベルと、今までの日本馬には難しかった馬場状態。キーポイントはそのふたつかなと思っています。

-日本から唯一の参戦。日本のファンへひと言

まず思うのは、やはり勝つのは簡単じゃないことだというのは感じています。ただ、2年前にこの馬をドーヴィルで買ったとき、凱旋門賞に連れて帰ってくると言い、現実に有力馬として連れて帰ってくることができたということは奇跡的な確率だと思うんです。その奇跡的な確率を成し遂げた馬だからこそ、オーナーだからこそ、そして調教師、騎手だからこそ、チャンスがあると思っています。全力を尽くします。

出典:日刊スポーツ