【ドバイターフ】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!
2017年03月22日 22:09
日本馬は過去10年間で3回、直近3年間で2回優勝している。ワンターンの芝1800m戦、という条件はサンデーサイレンスに由来する瞬発力を備えた日本馬にとって戦いやすい舞台であることは間違いない。
今年はヴィブロスが出走を予定している。ヴィブロスは秋華賞馬でありディープインパクトを父に持つ。壮行レースとなった中山記念(G2・芝1800m)に出走し、5着に敗れている。褒められた成績ではないが、超スローペースからレース中盤で急激にペースアップする極端なロングスパート戦となったので、その変則的な流れにうまく対応できなかった部分もあった。1~3着はいずれもスピードの持続力に強みのある馬だった。ディープインパクト産駒が得意とする瞬発力が活きる流れではなかったことは強調しておきたい。
ヴィブロスはヴィクトリアマイル(G1)を2連覇したヴィルシーナの全妹で、阪神大賞典(G2)とアルゼンチン共和国杯(G2)を勝ったシュヴァルグランの4分の3妹でもある。昨年秋に勝った秋華賞(G1)は京都内回りコースだが、末脚で勝負するタイプだけに、むしろ直線は長いほうがいい。メイダン競馬場の芝直線は450m。阪神外回りコースよりもやや短く、京都外回りコースや中京芝よりも長い。これだけの長さがあれば存分に持ち味を発揮できるだろう。瞬発力勝負になればおもしろい。
出走予定馬のなかで下馬評が高いのはフランス調教馬ザラック。前走のドバイミレニアムS(首G3・芝2000m)は直線で楽々と抜け出し、ゴール前では手綱を抑える余裕があった。抜け出すときの脚の速さは非凡な素質を感じさせる。「ドバウィ×ザミンダー」という組み合わせで、母ザルカヴァは凱旋門賞(G1・芝2400m)など7戦全勝でカルティエ賞年度代表馬に輝いた世紀の女傑。3歳時は仏ダービー(G1・芝2100m)2着など勝ち切れないレースが続いたが、4歳を迎えていよいよ本格化したとなると手強い相手となる。父ドバウィは昨年のドバイシーマクラシックを制したポストポンドを出しているようにドバイの芝は問題なくこなす。ザラックとポストポンドは母の父がいずれもミスタープロスペクター系であることも共通している。
リブチェスターは昨年のジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)の勝ち馬で、クイーンエリザベス二世S(英G1・芝8f)でも2着に食い込んだ。格を比較すれば出走馬中ナンバーワンだろう。父イフラージはミスタープロスペクター系のマイラー型種牡馬で、昨年のカルティエ賞最優秀3歳牡馬となったアルマンゾルの2代父でもある。3代母メーサーフは愛1000ギニー(愛G1・芝8f)の勝ち馬で、5代母フォールアスペンは20世紀を代表する世界的名牝の1頭。「イフラージ×マルジュ」という組み合わせは堅い芝でさらに威力を発揮しそうだ。
デコレーテッドナイトは前哨戦のジェベルハッタ(首G1・芝1800m)の勝ち馬。母パーリングは名種牡馬ジャイアンツコーズウェイの全妹で、デコレーテッドナイト自身はグレンイーグルス(英2000ギニーなどG1を4勝)やマーヴェラス(愛1000ギニー)の同血、という超良血。グレンイーグルスは堅い芝を得意としたので、ガリレオ産駒ながら高速決着や瞬発力勝負に対応できそうだ。