母は2008年の凱旋門賞を無敗のまま制すなど、5つのG1タイトルを含む7戦全勝の完ぺきな戦績を残して繁殖入りしたザルカヴァ。父も当代切っての人気種牡馬ドバウィと、大きな期待を背負った競走生活が続くザラックに、ようやく目覚めの時が訪れようとしている。昨年10月のG2ドラール賞以来、4か月半ぶりの今季初戦となった前走のG3ドバイミレニアムステークスは、中団を抜群の手応えで追走すると直線入り口で先頭集団を射程圏に入れ、その後はC.スミヨン騎手に気合いをつけられただけで矢のような瞬発力を披露。デビュー8戦目にして待望の重賞初制覇を飾った。

待望のタイトル、それもG3では期待の血統馬に物足りない印象があるかもしれない。しかし、昨年は仏ダービーで1馬身1/2差の2着という実績がある。屈した相手はあのアルマンゾルなのだから、時代の巡り合わせが悪かったとしか言うほかない。仏2000ギニーで5着、ムーランドロンシャン賞で4着と1600mのG1ではもうひとつだが、それでも、キャリアを通じて最も下の着順がこの2戦。2000mではG2ギヨームドルナーノ賞でもアルマンゾルと1馬身差の2着と安定している。ドバイミレニアムSで一蹴した2着馬と4着馬はドバイターフ前哨戦のG1ジュベルハッタで勝ち馬から1馬身圏内の上位争いをしており、ひと叩きの上昇分も含め勝機は十分だろう。