ドバイシーマクラシック

Dubai Sheema Classic

2018/03/31(土)25時10分発走 ※発走日時は日本時間

メイダン競馬場

  

【シーマクラシック】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2018年03月29日 11:01

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 ドバイと香港で行われる芝中距離戦は日本馬が得意としており、ドバイシーマクラシックは過去3勝、2着3回。このほか南アフリカのフジキセキ産駒サンクラシークが優勝(08年)している。日本血統とはきわめて相性がいい。

 ただ、堅実に上位争いをする一方で、過去10年間の日本調教馬に限ると、1勝、2着3回と勝ちを逃すケースが目に付く。勝ったのはジェンティルドンナ(14年)のみで、ブエナビスタ(10年)、ジェンティルドンナ(13年)、ドゥラメンテ(16年)が2着。芝2410mという距離は、サドラーズウェルズ系が得意とする条件で、ヨーロッパ馬の層も厚い。

 今年、イギリスのブックメーカーで1番人気が予想されるのはクロスオブスターズ。4歳を迎えた昨年飛躍を遂げた。シーズン開幕からエクスビュリ賞(仏G3・芝2000m)、アルクール賞(仏G2・芝2000m)、ガネー賞(仏G1・芝2100m)と3連勝。秋シーズンもフォワ賞(仏G2・芝2400m)2着、凱旋門賞(仏G1・芝2400m)2着と健闘した。フランスの古馬最強馬といえる存在だ。

 父シーザスターズは大種牡馬ガリレオの半弟で、ハーザンド(英ダービー、愛ダービー)、タグルーダ(英オークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)など12ハロン向きの大物を出している。母ストロベリーフレッジは英オークス馬ライトシフトの全妹で、3代母ノーザントリックは仏オークス(G1)とヴェルメイユ賞(仏G1)を勝ち、凱旋門賞でも2着となった名牝。芝2400m向きの血統構成としては申し分ない。ミスタープロスペクター4×3なので軽めの芝にも対応可能だろう。

 父の代表産駒ハーザンドとタグルーダは母方にシャーリーハイツを持っているが、クロスオブスターズもこの血を持っているので配合構成が似ている。今季初戦のダルシャーン賞(AW1900m)はタリスマニック(昨年のBCターフ勝ち馬)の2着と敗れたものの、休み明けとしては悪くない。能力の高さから考えて状態に問題がなければ凡走することはなさそうだ。

 ポエッツワードは昨シーズン後半から急激に力をつけた。8月のグロリアスS(英G3・芝11f218yds)で重賞初制覇を飾ると、愛チャンピオンS(G1・芝10f)、英チャンピオンS(G1・芝10f)と連続2着。後者はクラックスマンに7馬身離されてはいたものの、古馬トップクラスの一角に加わる能力を示した。暮れの香港C(G1・芝2000m)は6着に終わり、ネオリアリズム、ステファノス、スマートレイアーに先着を許した。平地シーズン終了後の長距離遠征、アジア圏での競馬に戸惑ったであろうことを考えれば、むやみに評価は下げられないが、今回もドバイへの遠征競馬なので、持てる能力を出し切れるかどうか微妙だ。「ポエッツヴォイス×ナシュワン」の配合はイギリスやアイルランドの芝がベストだろう。

 ホークビルは一昨年のエクリプスS(英G1・芝10f7yds)の勝ち馬。未勝利戦から6連勝で同レースを制したときは新星登場かと思われたが、その後はG2を2勝、G3を1勝という成績でトップクラスとはやや力の開きを感じる。父キトゥンズジョイはメダリアドロと並ぶエルプラドの最良の後継種牡馬。米G1を4勝したステファニーズキトゥンをはじめ芝向きの一流馬を多数送り出しており、2013年に北米リーディングサイアーに輝いた。日本でもジャンダルムがデイリー杯2歳S(G2)を、ダッシングブレイズがエプソムC(G3)を勝っている。

 海外におけるキトゥンズジョイ産駒の一流馬は、その多くがロベルトクロスを持っており、本馬もこのパターンから誕生した。半弟フリードロップビリーはブリーダーズフューチュリティS(米G1・ダ8.5f)の勝ち馬で、ファミリーの質は高い。前走、ドバイシティオブゴールド(G2・芝2410m)の勝ちタイムは2分26秒85と速かった。アメリカのスピード血統が散りばめられた配合は時計の速い決着に対する適性の高さを感じさせる。穴ならこの馬か。

【栗山求の最終見解】

 京都記念(G2)で断然人気に推され、3着と敗れたレイデオロ。ドバイ遠征を見越してベストの仕上げではなく、道悪もこたえた。「キングカメハメハ×シンボリクリスエス」という組み合わせで、2代母レディブロンドは大種牡馬ディープインパクトの半姉にあたる良血。レディブロンドの子孫7頭はすべて勝ち上がり、そのなかには母ラドラーダ(阪神牝馬S-6着)や叔父ゴルトブリッツ(帝王賞)も含まれる。レイデオロはサンデーサイレンスを持たない配合構成ながら、サンデー系の切れるタイプに引けを取らず、同世代の頂点に立った。ウインドインハーヘア-レディブロンド牝系の威力だろう。キングカメハメハ産駒は一昨年ドゥラメンテが挑戦し、ポストポンドの2着に敗れた。道中落鉄していたことを考えれば勝ちに等しい内容だった。良馬場ならレイデオロも十分太刀打ちできるだろう。

 サトノクラウンは馬場が渋ったときに一発の可能性がある。モズカッチャンは「ハービンジャー×キングカメハメハ」で、いかにもドバイの芝に合いそうなタイプ。好位で気持ちよくレースを進めれば馬券圏内に入ってもおかしくない。