日本馬挑戦の歴史
充実の戦績が物語る日本調教馬の晴れ舞台
1996年に産声をあげたドバイワールドカップ開催において、日本調教馬として最初に凱歌をあげたのは2001年のステイゴールド。当時としては少々意外な名脇役だった。大レースで再三にわたり上位争いを演じる一方、遠征直前の日経新春杯でようやく2度目の重賞制覇を飾ったばかり。日本馬の実績がないドバイへ、しかも7歳にして自身初の海外遠征とあって苦戦も予想された。
しかし、ステイゴールドは闘志満点の激走で周囲の予想を覆してみせる。16頭立ての中団ラチ沿い、世界王者ファンタスティックライトの直後に控えて脚を溜めたステイゴールドは、先頭に立った王者を残り300m付近から追撃。勝ちパターンの相手に対して獲物を追う獣の如く執念で詰め寄ると、最後は首の上げ下げを際どく制し、世界デビューで見事に主役を食ってみせた。
ステイゴールドの5年後に通算4頭目の参戦となったハーツクライは、史上最強馬への階段を駆け上がってきたディープインパクトを有馬記念で完封し、3か月前にG1初制覇を飾ったばかり。差しから一転の先行策による奇襲成功を勝因とする見方も少なからずあり、シーマクラシックは真価を問われる一戦となった。しかし、ここでも有馬記念と同様に先行態勢に入って単騎の逃げに持ち込むと、終始楽な手応えのまま直線の残り400m標識を合図に満を持してのスパート。見る見るリードを開いて4馬身差の圧勝劇を演じ、その名を世界にとどろかせた。
ハーツクライの後には2010年にブエナビスタが3/4馬身差で2着。鞍上の都合で本来より500グラム重い斤量を負担したうえ、レースでも再三進路がふさがるなど不利が重なり、何とも惜しまれる敗戦を喫している。
2013年と2014年にはジェンティルドンナが2年連続の遠征。1年目はジャパンカップ以来の4か月ぶりという臨戦で力みが目立ち2着に敗れた。しかし、2年目は本番前に京都記念を経てドバイ入りし、狙い通りに状態を上げる。レースでは中団のインに収まり、事実上の一騎打ちと見られていたシリュスデゼーグルをマーク。直線では包まれて行き場がなく、残り300mでライバルに1馬身のリードを許してしまった。しかし、外に空いたスペースへやや強引に舵を切って猛追。万事休すの態勢から劇的に逆転勝利を飾り、前年の雪辱を果たした。
2015年はワンアンドオンリーが3着、2016年もドゥラメンテ(2着)とラストインパクト(3着)が上位争いを演じるなど、2013年以降の日本調教馬は4年連続で入着を果たした。G1昇格前を含めて入着率は5割以上と、シーマクラシックは日本馬が最も好成績を残してきたレースになっている。
年 | 馬名 | 性齢 | 着順 | 騎手 | 調教師 |
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2017 | サウンズオブアース | 牡6 | 6 | C.ルメール | 藤岡健一 |
2016 | ドゥラメンテ | 牡4 | 2 | M.デムーロ | 堀宣行 |
ラストインパクト | 牡6 | 3 | J.モレイラ | 角居勝彦 | |
ワンアンドオンリー | 牡5 | 5 | 武豊 | 橋口慎介 | |
2015 | ワンアンドオンリー | 牡4 | 3 | C.デムーロ | 橋口弘次郎 |
ハープスター | 牝4 | 8 | R.ムーア | 松田博資 | |
2014 | ジェンティルドンナ | 牝5 | 1 | R.ムーア | 石坂正 |
デニムアンドルビー | 牝4 | 10 | 浜中俊 | 角居勝彦 | |
2013 | ジェンティルドンナ | 牝4 | 2 | 岩田康誠 | 石坂正 |
トレイルブレイザー | 牡6 | 11 | 武豊 | 池江泰寿 | |
2011 | ルーラーシップ | 牡4 | 6 | C.スミヨン | 角居勝彦 |
2010 | ブエナビスタ | 牝4 | 2 | O.ペリエ | 松田博資 |
2007 | ポップロック | 牡6 | 6 | O.ペリエ | 角居勝彦 |
2006 | ハーツクライ | 牡5 | 1 | C.ルメール | 橋口弘次郎 |
2002 | ホットシークレット | セ6 | 7 | 柴田善臣 | 後藤由之 |
2001 | ステイゴールド | 牡7 | 1 | 武豊 | 池江泰郎 |
2000 | ゴーイングスズカ | 牡7 | 5 | 芹沢純一 | 橋田満 |