ドバイターフ 2025/4/6(日) 01:15発走 メイダン競馬場

見どころPREVIEW

大本命と目されるロマンチックウォリアー。(Photo by The Hong Kong Jockey Club)

ロマンチックウォリアーに死角なし、日本勢は初対戦の2頭に一矢の期待

今年のドバイターフは11頭立てと2015年(10頭立て)以来の少ない頭数で争われることになった。その原因の一つはロマンチックウォリアーの参戦にあるかもしれない。芝では日本調教馬に無敗、前走は初のダートでもフォーエバーヤングと接戦を演じるなど、総合力は現役最強とも思える大本命。この馬を負かせる馬がいるのかが焦点となる。

ロマンチックウォリアーの死角を探すとすれば、昨年11月からほぼ月1走ペースで5戦目という体力面か。前走のサウジCは不慣れなダートで一気に先頭に立った結果、フォーエバーヤングの追撃に屈する負担の大きな内容だった。しかし、例年なら中3週のところ、今年は中4週で3月一杯を空けられたのは幸い。1月からドバイに滞在して環境にも慣れ、今回と同舞台のジェベルハッタでは余力残しでレコード勝ちと、他馬との比較でアドバンテージすら感じさせる。無事にゴールできれば、やはり勝利に最も近い存在だろう。

前年の優勝馬ファクトゥールシュヴァルにも敬意を払う必要がある。本来なら中心を担っているはずの実力馬で、打倒ロマンチックウォリアーの筆頭に評価するべき。ドバイターフ後は勝利がないが、欧州のマイルG1で堅実に活躍しており、直近2戦はダート挑戦だけに度外視も可能。相手を1頭に絞っていける今回は組み立てが楽で、リピーター傾向の強いレースという面からも、決して軽視はできない。

香港Cでロマンチックウォリアーに2着で敗れたリバティアイランド。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

これまでロマンチックウォリアーに分が悪い日本勢は、リバティアイランドとソウルラッシュに対戦経験がある。リバティアイランドは香港Cで2着に続いたが、当時は着差(1馬身1/2)以上の完敗だった。ただし、脚部不安から復帰した天皇賞(秋)の惨敗後で、中内田充正調教師としても2着に負けた悔しさと、巻き返せた安堵感が入り混じる状態だったという。本来の姿に戻っているなら、前回と違うところを見せてくれるはず。

ソウルラッシュは安田記念でロマンチックウォリアーに1/2馬身とハナ差の3着。リバティアイランドがつけられた着差よりも小さい。ただ、ロマンチックウォリアーにとってはアウェー戦で、1600mもベストよりやや短かった。距離が200m延び、レコードホルダーに対する今回はソウルラッシュにアウェーの舞台。逆転する立場を補い切れるかがカギ。

ブレイディヴェーグとメイショウタバルは初対戦だが、それ故の楽しみはある。ブレイディヴェーグは昨秋の府中牝馬Sを目の覚めるような瞬発力で制したように、直近2連敗中のマイルから200mでも距離が延びるのはプラス。ロマンチックウォリアーは馬体を併せると滅法強いだけに、一気に差し切る形に持ち込めれば見せ場以上の結果もあるか。

反対にメイショウタバルは距離短縮で課題の折り合いが楽になる。今回も逃げることになるはずだが、波乱を呼ぶのは逃げ馬が競馬の常。ロマンチックウォリアーが気にするのは前よりも後ろで、ペース配分に長けた武豊騎手を鞍上に迎えてマジック炸裂の場面も。

ファクトゥールシュヴァル以外の欧州勢ではゴーストライターとマルジュームにG1入着歴がある。ゴーストライターは勝ち切るほどのパンチ力を感じさせない一方、マルジュームには昨年のサセックスSでファクトゥールシュヴァルを差し切っての2着がある。海外遠征に明るいW.ハガス調教師の管理馬でもあり、ドバイの環境が合うようなら侮れない。

ネーションズプライドはシングスピールSで優先出走権を獲得。2年前のドバイターフでは3着と舞台実績も豊富で、リピーター傾向のレースにマッチしている。ただ、本来であれば主力になるはずだった僚馬メジャードタイムが1月のジェベルハッタでロマンチックウォリアーに一蹴されており、その比較から強気にはなれない。ジェベルハッタとシングスピールSで完敗のホロウェイボーイ、重賞未勝利のゴエモンはいかにも苦しい。

(渡部浩明)