スプリント路線に現れたニューヒーローが一気に世界へ打って出る。ファインニードルが一流馬への階段を上りはじめたのは昨年の夏だった。降級初戦の準オープンを一戦で卒業し、ひと息入れて迎えた北九州記念では1番人気。直線で包まれ、脚を余す形で5着に敗れたものの、勝ち馬とは1馬身少々と実力の一端を見せた。続くセントウルステークスでも1番人気を譲らず、今度は混戦の2着争いを尻目に体ひとつ余り抜け出して初タイトルを手にしている。余勢を駆って挑んだスプリンターズステークスでは12着に沈んだが、不利な外枠の上に発馬も悪く、全てがチグハグな消化不良の内容だった。

その敗戦が力負けでなかったことは、年明けからの快進撃を見れば一目瞭然。4か月近い休養からシルクロードステークスで復帰したファインニードルは、好位追走から直線半ばで大勢を決し、2度目の重賞制覇を飾る。そうして迎えた高松宮記念では好位集団を前に見ながら流れに乗ると、直線の坂上で鋭い瞬発力を発揮して混戦を制してみせた。最後にひと踏ん張り利かせた勝負根性が印象的で、ここに来ての地力強化には目覚ましいものがある。今回はハイレベルな香港のスプリンターたちに胸を借りる立場だが、まずは新王者として存在感を示してきてほしい。