クイーンエリザベス2世カップ

Queen Elizabeth II Cup

2019/04/28(日) 17:40発走

シャティン競馬場

  

【クイーンエリザベス2世C】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2019年04月24日 16:00

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 日本調教馬は過去10年間で2頭優勝している(2012年ルーラーシップ、17年ネオリアリズム)。12月に行われる同距離の香港カップ(G1)も同じく2頭が優勝。このカテゴリーは日本馬の層が厚く、香港馬はスプリントやマイル路線ほどは強くはないので、G1~G2クラスの馬が好調で臨み、相手と展開に恵まれれば5年に1回は勝てる。


 過去10年間の連対馬の血統を見るとダンジグ系の活躍が目立つ。表に示したのは「父」と「母の父」の系統だけだが、それ以外の部分を含めると、パキスタンスター、ワーザー、ステファノスもダンジグを持っており、過去5年間でこの血を持たずに連対したのはネオリアリズムしかいない。同馬は日本馬なので、香港馬で連対するにはダンジグの血は必須だ。

 香港馬のなかで最も前評判が高いのはエグザルタント。昨年暮れの香港ヴァーズ(G1・芝2400m)からセンテナリーヴァーズ(香G3・芝1800m)、香港ゴールドカップ(G1・芝2000m)と3連勝中。前走は序盤後方に控え、残り1000mから外をマクってスパート。3コーナーを過ぎた地点で先頭に立ち、そのまま押し切った。

 今回は約2か月ぶりの実戦となる。ガリレオ産駒テオフィロを父に持つアイルランド産馬で、母方はスタミナ豊富。父テオフィロは14戦全勝のフランケルと同じ「ガリレオ×デインヒル(その父ダンジグ)」で、2代母の父レインボークエストはフランケルにも含まれる。したがってエグザルタントとフランケルは血統構成がよく似ている。3走前の香港ヴァーズではリスグラシューと一騎打ちの叩き合いの末、クビ差先着している。先行、追い込み、マクリと戦法は多彩で、追い比べになれば鋭い脚を使う。なかなか厄介な相手だ。

 フローレはこのレースに出走する強豪4歳勢の一角で、前走は香港ダービー(G1・芝2000m)を制覇した。3走前には香港クラシックマイル(G1・芝1600m)を勝っている。父ピエロはゴールデンスリッパーステークス(豪G1・芝1200m)など5つのG1を制したスピード馬で、その父系はロンロ→オクタゴナル→ザビール→サートリストラムとさかのぼる。母の父リダウツチョイスはデインヒルを父に持つ豪リーディングサイアー。本馬はサドラーズウェルズ≒ヌレイエフ4×3というパワフルな4分の3同血クロスを持つ。ヌレイエフもこのレースと相性がいい。前走の香港ダービーは3番人気だったものの好位から抜け出す横綱相撲だった。あの競馬ができれば大崩れはない。

 ワイククは2走前の香港ダービーで1番人気に推されて2着。後方からマクって上昇したときにやや外を回りすぎた感があり、直線で外から猛然と追い上げたものの先に抜け出したフローレに1馬身1/4及ばなかった。父ハーバーウォッチはリッチモンドステークス(英G2・芝6ハロン)など3戦全勝。スピード型の名種牡馬ダークエンジェルと同じくノーザンダンサー系のアクラメーションを父に持ち、ハーバーウォッチの子もスプリンター~マイラーが多い。ワイククが2000m戦でもしっかり走っているのは、母方に散りばめられたクラシックタイプの中距離血統のおかげだろう。母の父はデインヒルダンサー。名前のとおりデインヒルを父に持つ。前走、グレード外の芝2000m戦で1番人気ながら7着と凡走しており、その影響が尾を引かなければ。

 ダークドリームはフローレと同じ年齢で同厩舎。以前、オーストラリアで走っていた時代にクイーンズランドダービー(豪G1・芝2200m)を勝った経験がある。香港にやってきてから重賞勝利はないが、3走前に香港クラシックカップ(G1・芝1800m)で2着。2走前の香港ダービーは4着だった。2着ワイククとは僅差で力差はない。父はロベルト系のスピード型種牡馬オールアメリカン、母の父ライオンハンターはデインヒルの息子。今年の有力香港勢は漏れなくダンジグ系の血を持っているのでどれも有望だ。実力も拮抗しているので甲乙付けがたい。乗り方ひとつで着順は変わりそうだ。

 日本勢は優勝を狙えるいいメンバーが集まった。ウインブライトは「ステイゴールド×アドマイヤコジーン」。ウインファビラス(阪神ジュベナイルフィリーズ2着、新潟2歳ステークス2着)の全弟にあたる。ステイゴールドとアドマイヤコジーンはニックス。父は01年の香港ヴァーズの勝ち馬なので馬場適性も高いだろう。中山芝1800~2000mで抜群の強さを発揮する馬なので、同じく右回りでコーナー4つのシャティン競馬場は能力を発揮できる舞台だ。

 ディアドラは「ハービンジャー×スペシャルウィーク」。昨年暮れの香港Cで2着と健闘したのでコース適性は申し分ない。父ハービンジャーはダンジグ系なのでこのレースと相性がいいだろう。母方にサンデーサイレンスとヌレイエフを併せ持つハービンジャー産駒は、ペルシアンナイト(マイルチャンピオンシップ)、ブラストワンピース(有馬記念)、ハービンマオ(関東オークス)、プロフェット(京成杯)など活躍馬が目白押しだ。ドバイターフ(G1・芝1800m)からの直行なので体調維持がポイント。

 

 リスグラシューは「ハーツクライ×アメリカンポスト」。ハーツクライ産駒はジャスタウェイ、アドマイヤラクティ、ヨシダなど海外G1の勝利実績が豊富だ。15年の香港Cでヌーヴォレコルトが2着となり、本馬も昨年暮れに香港ヴァーズでクビ差2着と健闘している。2000m以下がベストのこの馬にとって守備範囲を超える距離での健闘は高い能力の証明といえる。2000mの今回は条件が大きく好転するのでおもしろい。香港競馬はラストの決め手勝負となりやすいので、この馬の切れ味がモノをいうだろう。