チェアマンズスプリントプライズ 2025/4/27(日) 15:50発走 シャティン競馬場

見どころPREVIEW

11連勝中のカーインライジングが不動の本命。(Photo by The Hong Kong Jockey Club)

カーインライジングが不動の主役、日本勢は前回接戦のサトノレーヴに期待

今年のチャンピオンズデーで3レースを色分けするなら、クイーンエリザベス2世Cは混戦模様、チャンピオンズマイルは2強対決、そして、このチェアマンズスプリントプライズはカーインライジングが不動の本命。今季の7勝を含む11連勝中と地元の香港では無敵の地位を築き、年度代表馬の座も視野に入れる最強馬に死角は少ない。

アクシデントなどの不可抗力を別にして、現状のカーインライジングが負けるケースを想定するなら、今回のように外国勢が加わって異なる相手関係、経験の少ない道悪といった外的な変化に求めるしかなさそう。このうち、道悪に近いケースは今季初戦で1戦だけ経験しているが、当時はクラス1の条件戦で61kgのトップハンデを負担しながら、ゴール前は流す余裕の完勝を収めている。4馬身3/4差の5着で2番目に重いハンデ59.5kgのフライングエースは、道悪だった昨年のチェアマンズSPで4着の実力馬。週末にかけて天気が優れない現地だが、よほど極端な馬場状態にならない限り心配無用かもしれない。

この絶対王者に実力で太刀打ち可能な馬がいるとすれば、日本のサトノレーヴを置いて他にいない。昨年暮れの香港スプリントは直線でカーインライジングに食らいつき3/4馬身差の3着。スプリンターズSの凡走後、初の海外遠征と不安もある中で上々の内容を残した。高松宮記念を制してスケールアップを果たし、香港も2度目なら前回以上を期待できる。道悪は昨年の阪急杯で4着に敗れているが、当時は10か月の休み明けでオープン初挑戦、1200mから1400mへの距離延長と不慣れな条件が重なっていた。鞍上の小崎綾也騎手は道悪も問題なしとの談話を残している。

ルガルの香港スプリントは出遅れて先行力を発揮できず、11着という結果も度外視できる。しかし、前走の高松宮記念(7着)は物足りない。直線で先頭の形こそ作ったものの、直後を追走のエイシンフェンサーに差し込まれた。スプリンターズSを勝った際は縦長のイレギュラーな展開だっただけに、ここは真価を問われる一戦。不良馬場の橘Sを圧勝したように道悪はこなせるはずで、重馬場で大敗した昨年の高松宮記念は骨折の影響も考えられる。初遠征のエイシンフェンサーは目下の勢いがどこまで通じるか。

昨年暮れの香港スプリントはカーインライジングに食らいついたサトノレーヴ。(Photo by Shuhei Okada)

もう1頭の日本調教馬、ダノンマッキンリーは前走のアルクオーツスプリントが大健闘の4着。出遅れなければもっと上位を狙えたかという非常に濃い内容を残した。その一方、今回はドバイからの転戦で体調面が課題。昨年はカリフォルニアスパングルがアルクオーツスプリント勝ちから帰国してチェアマンズSPでも2着に好走したが、ドバイが4月開催の今年はレース間隔が1週詰まっている。

地元の香港勢はカーインライジングに勝負づけを済まされた馬ばかりで、唯一と言うべき注目は、ラッキースワイネスが砲骨の骨折から1年ぶりに実戦復帰を果たすことか。2023年にチェアマンズSPを制すなど最優秀スプリンターに輝き、無事ならカーインライジングの独走を許していなかったはずの実力馬。いきなり勝ち負けは難しいだろうが、昨年9月に帰厩して12月からトライアルに参加するなど乗り込み自体は進んでいる。まずは来季に希望をつなげる走りを見せてほしい。

これ以外の地元勢は、極端な道悪となってカーインライジングが苦しむか、日本勢の抵抗を受けてもつれる展開になるかが望み。今季は9戦して4着が最高と停滞しているが、道悪なら昨年のチェアマンズSPを完勝したインビンシブルセージに再び勝機が訪れるか。また、もつれる展開なら今季の6戦中5戦でカーインライジングの2着(残りは3着)と涙を飲んできたヘリオスエクスプレスにも当然、チャンスがめぐってくる。香港スプリントで1/4馬身かわされたサトノレーヴにとっても気になる存在だ。

(渡部浩明)