クイーンエリザベス2世カップ 2025/4/27(日) 17:50発走 シャティン競馬場

見どころPREVIEW

三度目の挑戦となるプログノーシス。(Photo by Getty Images)

4連覇も狙えた絶対王者が不在で日本勢に好機も、一長一短あり混戦模様

香港の中距離路線に君臨し、日本調教馬の前に高く厚い壁となって立ちはだかってきたロマンチックウォリアーが中東遠征の激闘を受けて休養入り。地元では日本調教馬に負けたことがなく、出走していれば4連覇も夢ではなかった絶対王者が不在となり、今年のクイーンエリザベス2世C(QE2C)は混戦の様相を呈している。

日本から遠征する3頭にとって、ロマンチックウォリアーが不在の今回は千載一遇の好機。地元の既成勢力で日本勢に先着経験があるのはストレートアロンしかおらず、それも一昨年の香港Cで脚を余した格好のプログノーシスに1/4馬身差というものでしかない。したがって構図は日本の3頭、諸外国からの遠征馬、そして香港の新勢力による三つ巴となるが、いずれも一長一短あり決め手には欠ける。

昨年の香港Cではタスティエーラが先行するもロマンチックウォリアーのマークを受け、先頭に立った所を早めに襲われる苦しい展開で3着。反対に後方から2着に割って入ったリバティアイランドには利があった。リバティアイランドは前走のドバイターフが日本馬4頭で最下位というまさかの結果。発馬がひと息で道中も馬群の外に置かれるなど酌量の余地はあるが、ドバイから香港への転戦は日程的に厳しく上積みがあるか判然としない。今回はタスティエーラに逆転のチャンスもありそうだ。

このレースでは2年連続でロマンチックウォリアーに屈してきたプログノーシスにとって、今回は文字通りに三度目の正直を狙う場。近走は課題のゲート難が悪化する一方となり、前走の金鯱賞も3連覇を逃す要因になるなど不安を抱える身だが、現地の天気が週末にかけて崩れ気味なのは朗報か。昨年は大きく出遅れるも道悪を苦にする様子もなくポジションを挽回し、ロマンチックウォリアーをクビ差まで追い詰めた。今回は宿敵の主戦、J.マクドナルド騎手を鞍上に迎えることになり、新味が引き出されるかもしれない。

レーティングで頭ひとつ抜けているゴリアット。(Photo by Getty Images)

出走馬の中ではフランスのゴリアットがレーティングで頭ひとつ抜けた存在。昨秋のジャパンCでは6着ながら、5着のジャスティンパレスとはアタマ差しかなく、速い馬場にも対応力を見せた。ただし、今回はジャパンCから5か月ぶりの実戦で、距離の2000mも未知数。連覇が懸かる7月のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSを上半期の大目標に置いており、いきなり全開と行けるか。

ニュージーランドのエルヴェンセドールは現地でG1レース3連勝中と絶好調での遠征だったが、香港入り後に左後肢の蹄を傷めて18日から22日まで軽い運動しかできなかった。半兄スカイダーシーが2021年の香港ダービー馬で舞台に縁があるうえ、逃げを含む先行脚質というのは魅力だが、このアクシデントは不安要素でしかない。バーレーンのカリフは昨年の香港Cでタスティエーラから3馬身半差の6着。その後もネオムターフCとドバイシーマクラシックで日本の一線級に完敗している。

地元の香港勢ではストレートアロンがレーティング最上位だが、対日本勢という観点では4歳三冠戦組の香港ダービー馬キャップフェラ、香港クラシックCの覇者でダービーでは1番人気(6着)だったルビーロットの新興勢力に注目。キャップフェラはダービーが通算17戦目での初勝利ながら、戦績は長めの距離に適性を示している。移籍前の豪州ではスプリングチャンピオンS(2着)、ローズヒルギニー(3着)と2000mのG1実績があり、スプリングCSの勝ち馬トムキトゥンは今月12日の豪クイーンエリザベスSで3着だった。

(渡部浩明)