香港ヴァーズ

Hong Kong Vase

2017/12/10(日)15時00分発走 ※発走日時は日本時間

シャティン競馬場

見どころ

香港ヴァーズで日本馬による連覇の期待がかかるキセキ。
香港ヴァーズで日本馬による連覇の期待がかかるキセキ。

欧州古馬2頭に挑むキセキ、香港ヴァーズは3強対決の様相

昨年はサトノクラウンが日本調教馬として史上2頭目の優勝を飾った香港ヴァーズ。今年はクラシックホースが参戦し、日本馬による連覇へ楽しみの大きな一戦となった。

レースの中心を担うのは、2年ぶりの勝利を狙うアイルランドのハイランドリール、そのハイランドリールを前走のG1ブリーダーズカップターフで破ったフランスのタリスマニック、そして前走で菊花賞を制した日本のキセキの3頭となろう。

レーティングではハイランドリール(123)、タリスマニック(122)が頭ひとつ抜け、これにキセキ(118)が続く格好。キセキは2頭に対して劣っているものの、3歳馬のためレースでは約2kg(5ポンド)の恩恵を受けられるため、計算上はハイランドリールに並ぶ形だ。

実績上位のハイランドリールとタリスマニックは、ともに逃げも打てる先行脚質。BCターフでも共倒れしなかったように、自在性のある実力馬が前でペースを支配する以上は、よほどの出遅れでもない限り波乱の目は考えにくい。

ハイランドリールが先行した前2年のペースは、2015年が中間点の1200m通過1分17秒54、走破時計2分28秒43。2016年は1200m通過1分14秒32、走破時計2分26秒22だった。ともに良馬場で行われ、2015年はハイランドリールが優勝し、2016年は2着に敗れた。ただ、サトノクラウンに差し切られた2016年でも3着馬を7馬身近く離しており、同じようなペースになったところで崩れる心配はないだろう。

一方のタリスマニックを管理するA.ファーブル調教師は、BCターフの内容から平均以上のペースに活路を見出したという趣旨のコメントを残している。今季の始動戦の頃には、香港ヴァーズにも参戦するティベリアンに連敗したが、引きつけすぎて瞬発力で後れを取っていた。スローペースになるようなら早めに動く可能性が高い。

ある程度のペースで流れるのは、末脚勝負のキセキにとって願ってもないこと。良馬場で33秒台の上がりを使えるうえ、菊花賞では無尽蔵のスタミナを証明している。神戸新聞杯で2馬身差のレイデオロが、ジャパンカップで勝ち負けを演じた比較から、古馬の一線級に大きく見劣る面もない。3歳牝馬の優勝例がある香港ヴァーズなら、キセキにもチャンスは十分あるはずだ。

レーティングで3強に続くのは前出のティベリアン(114)。これにレースでの斤量差を加味すれば英国の牝馬スマートコール(110)も互角だが、さらに1ポンド差で5頭が並び、4番手争いは横一線の様相。その中には日本のトーセンバジルも含まれている。ここまで重賞勝ちこそないトーセンバジルだが、今年は阪神大賞典と京都大賞典でシュヴァルグランと互角に渡り合ったように、ここで3強に割って入っても不思議はない。