香港カップ 2024/12/8(日) 17:45発走 シャティン競馬場

見どころPREVIEW

完全復活を期すリバティアイランド。(Photo by Shuhei Okada)

ロマンチックウォリアーが史上初の3連覇へ、日本の2頭は阻止なるか

香港Cはロマンチックウォリアーによる史上初の3連覇なるかが焦点。実績的に待ったをかけ得るのは日本のタスティエーラとリバティアイランドだが、日本調教馬が過去4回の直接対決で1回も先着できていない相手だけにハードルは高い。

ロマンチックウォリアーはJ.マクドナルド騎手が主戦に収まってからの安定感が群を抜いている。ここまで10戦9勝で唯一の敗戦は初の海外遠征で初戦だったターンブルS(豪州)だけ。それも事前の検査など大きな負担を強いられる環境でのもので、その後は前走まで6連勝と1年以上も無敗を続けている。前哨戦のジョッキークラブCではノーステッキの気合いづけだけで4馬身余りの圧勝と国内に敵はなく、有利な1番枠を引き当てて死角らいしものも見当たらない。

レースでの斤量差を加味すると、数字(レーティング)上はリバティアイランドがロマンチックウォリアーを上回るが、大敗を喫した前走の天皇賞(秋)からどれほどの変わり身があるか。ドバイ遠征で右前種子骨の靱帯炎を発症し、回復途上だったことが敗因とされるが、靱帯炎からパフォーマンスを戻せなかった名馬は少なくない。全快さえしていれば、日本馬の天敵に一矢報いる力はあるはずだが、走ってみないことには分からない面が残されている。

対照的にタスティエーラは天皇賞(秋)で復調の手応えをつかんだ。春は大阪杯、天皇賞と掲示板にも載れなかったが、菊花賞から1年ぶりの連対は今回への弾みとなる。ダービー以来となるD.レーン騎手とのコンビも復活し、上げ潮ムードに乗っていきたいところ。ダービーと天皇賞(秋)はG1としてはかなり遅いペースだっただけに、勝ち負けに持ち込むには両レースのような一瞬の脚を生かせる展開が理想か。

史上初の香港C3連覇が懸かるロマンチックウォリアー。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

5頭が遠征する欧州勢ではカリフとコンテントにG1勝ちの実績があるが、今回の条件ではスピリットダンサーとウイングスパンの方が上位争いの可能性を感じさせる。

スピリットダンサーは英国調教馬ながら欧州での重賞は1勝のみ。それに対して中東では前走のバーレーンインターナショナルT(連覇)を含め3勝し、カリフには失格を含めて3戦とも先着している。2月のネオムターフCではカリフの他にルクセンブルク、キラーアビリティら日欧のG1ホースを並ぶ間もなく差し切っており、同じように平坦で整地されたシャティン競馬場の馬場ならG1級と解釈も可能。

ウイングスパンとコンテントはA.オブライエン調教師の管理馬で、主戦のR.ムーア騎手はコンテントを選択した。ただ、両馬は前々走の英チャンピオンズフィリーズ&メアズSで同走し、ウイングスパンが2着に逃げ粘ったのに対してコンテントは11着に大敗。次戦はともにアメリカのBC開催に遠征し、ウイングスパンは牡馬が相手のBCターフで5着に善戦しただけでなく、昨年の香港Cで小差2着の僚馬ルクセンブルクに先着している。その一方、コンテントは牝馬限定のBCフィリー&メアターフで中団のまま6着。今回のウイングスパンは単騎逃げがかないそうで、3歳牝馬の軽い斤量を利しての粘り込みもあるだろう。

カリフも上位争い可能な実力馬だが、今回の条件ではスピリットダンサーが当面の敵になるか。ザフォクシーズはスピリットダンサーと同じく平坦コース向きの英国調教馬だが、ここまでの戦績的なインパクトには欠ける。

(渡部浩明)