見どころ
ディアドラ、大本命の難敵マジカルに雪辱でG1連勝なるか?
日本のディアドラが海外G1レース連勝を狙うアイリッシュチャンピオンステークスのテーマは「打倒、マジカル」に尽きるだろう。欧州初戦のプリンスオブウェールズステークスで12馬身差をつけられた現役屈指の強豪と如何に対峙するかは、ディアドラのみならず、このレースを戦う各馬に投げかけられる難問だ。
プリンスオブウェールズSでのディアドラの敗因は、周知の通り稍重の発表以上に悪化した馬場状態。当時は2400mで実績のある馬が上位を占め、1990mの距離以上にスタミナを問われた。ディアドラは良馬場のナッソーステークスで見事に巻き返しただけに、マジカルとの関係が良馬場でどれほど変わるのか興味深い。現地の天気予報では12日に少雨があったものの、レース当日まで概ね乾いた気候が続くという。良馬場で戦える可能性が高く、ディアドラにかかる期待も増す。
ディアドラにとってはマジカルばかりが気になる相手ではない。その僚友であるアンソニーヴァンダイクとマジックワンドも強力だ。前者は道悪のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスこそ不甲斐ない内容だったが、堅良馬場の英ダービーでは鋭い末脚を炸裂させている。また、マジックワンドは今年だけで牡馬混合G1レースの2着が2回。昨年のヴェルメイユ賞とオペラ賞でも2着に好走している。良馬場の適性や牝馬同士なら実力上位を証明済みという点で、それぞれにディアドラと共通項を見出せる。ペースメーカーを担うであろうハンティングホーンを含め、4頭出しで半数を占めるA.オブライエン厩舎の優位は動かない。
G1未勝利ながら優勝争いを左右しそうな実力馬も控えている。
まずは英インターナショナルステークスでの3着から再び追加登録で参戦を果たすエラーカムだ。レースでは直線で包まれ通しになり、満足に追えないまま1着のジャパンとはアタマ+1馬身差の3着。スムーズなら、あるいは勝ち負けになっていたかという実に惜しい内容だけに、ここで勝利をさらっても何ら不思議はない。7万5000ユーロ(約900万円)の追加登録料を回収するには3着以上の結果が必要だが、前回の成功例からも自信は相当あることだろう。
そして、3歳馬のマッドムーンとヘッドマンが来年以降も含めて大きな楽しみを秘める。マッドムーンは英ダービー(2着)でジャパンに先着。そのジャパンはインターナショナルSでクリスタルオーシャンを破り、クリスタルオーシャンはプリンスオブウェールズSでマジカルに完勝という比較から、今回のメンバーに入っても勝利の有資格馬であることが分かる。一方のヘッドマンはG2連勝からG1初挑戦の上がり馬的な存在。まだまだ粗削りな面を残しているものの、雄大な馬体から繰り出す末脚に魅力があり、将来性は3歳馬で一番かもしれない。