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【凱旋門賞 回顧】エネイブル3連覇を阻んだ馬場と地元勢の意地

2019年10月07日 16:00

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 現地時間6日午後、フランス・パリロンシャン競馬場で凱旋門賞(G1、芝2400m)が行われ、ヴァルトガイスト(牡5歳、A.ファーブル厩舎)が優勝。3連覇を狙い1番人気に支持されたエネイブル(牝5歳、J.ゴスデン厩舎)は残念ながら2着に惜敗した。

 前日、そして当日の朝と雨が降ったせいもあり、馬場状態は日本流に言う“重”。しかし、レース直前には晴れ間も覗く空の下、12頭立てとなった今年のヨーロッパ最大の一番はスタートを切った。

 史上初の3連覇を目指す女王エネイブルは重い馬場での実績もあったため好スタートを決めると名手L.デットーリ騎手を背に45番手の好位で競馬をした。

 日本から挑戦した3頭は、フィエールマン(牡4歳、美浦・手塚貴久厩舎)が掛かり気味に3番手、ブラストワンピース(牡4歳、美浦・大竹正博厩舎)が56番手の外、キセキ(牡5歳、栗東・角居勝彦厩舎)はスタートで後手を踏むような形になり中団より少し後ろからの競馬となった。また、地元馬ながら武豊騎手が騎乗したソフトライト(牡3歳、JC.ルジェ厩舎)は、この馬としてはいつも通りのゆっくりとしたスタートで後方からの追走となった。

「序盤のペースは速かった」

 レース後にそう語ったのは結果的に優勝する事になるヴァルトガイストの手綱をとったP.ブドー騎手。8番手から追走していた。

 馬順に大きな変化はないまま最終コーナーを回り最後の直線に向く。ラスト300mを切るとエネイブルが一度は抜け出した。一方、日本の各馬は早々に後退しはじめたフィエールマンを始めいずれも手応えが怪しく、勝負圏外となってしまった。勝つ態勢かと思えたエネイブルの後ろには地元のダービー馬ソットサス(牡3歳、JC.ルジェ厩舎)とG1英インターナショナルステークス勝ちのジャパン(牡3歳、A.オブライエン厩舎)。しかし、その2頭とエネイブルの差は徐々に開く。これに対し、唯一女王との差を詰めて来たのがヴァルトガイストだった。

「最終コーナーを回る時にはその手応えから勝てると自信を持てた」とブドー騎手。一完歩ごとに差を詰めると、ラスト50mを切った地点で完全に捉え、逆に抜け出す。最後はエネイブルに1馬身3/4の差をつけ、23197の時計で真っ先にゴールへ飛び込んだ。

「長年の夢がついにかないました。こんなハッピーなウィークエンドはありません」

 この週末だけで2つのG1を含む重賞5勝を挙げたブドー騎手は満面の笑みでそう語った。凱旋門賞は彼にとっても初めての事だった。

 管理するファーブル調教師はこれがなんと8度目となる凱旋門賞優勝。「何度勝っても嬉しいけど、今回は久しぶりだった分、尚更嬉しいですよ」と語った。

参戦した3頭の日本馬は、キセキの7着が最高だった。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

 一方、史上初の偉業達成とはならなかったエネイブルのデットーリ騎手は「状態も良かったし、良く走ってくれたけど、あまりにも馬場が悪過ぎたのが響いた」と言った。

 なお、日本馬はキセキが7着、ブラストワンピースが11着、フィエールマンが12着に、また、武豊騎手のソフトライトが6着にそれぞれ敗れた。

取材・文:平松さとし

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