COLUMN

コラム

ニュース/コラム

【凱旋門賞】過去10年のレース傾向と馬券での狙いどころは?

2020年10月01日 14:40

  • 友だち追加数

 フランスのロンシャン競馬場を舞台に行われる世界最高峰の中長距離最強馬決定戦、凱旋門賞。今年はその頂を目指して、日本馬はディアドラが出走を予定している。それでは2010年以降・過去10年のデータを中心にレース傾向ならび馬券での狙いどころを探っていく。

 表1ではJRAで馬券発売が開始された2016年以降・近4年の3着以内馬と主な券種の配当をまとめてみた。16・17年はシャンティイ競馬場での開催で、16年は3番人気ファウンドが優勝。2・3着には伏兵が激走し、馬連で万馬券、3連単でも38万円を超える波乱となった。

 近3年はいずれもエネイブルが1番人気に推され、17年・18年は連覇。史上初の3連覇がかかった昨年は2着に敗れ、9番人気のヴァルトガイストが優勝した。比較的堅めの決着となっているが、毎年1頭は8番人気以下の伏兵が馬券に絡んでおり、3連単では万馬券が続いている。

 好走馬の傾向としては、まず12頭すべて3~5歳におさまっていることが挙げられる。また、エネイブルだけでなく、伏兵のクロスオブスターズも17年・18年と2年連続で好走。過去10年ではこの他にも、13・14年連覇のトレヴ、12年・13年2着のオルフェーヴル、14年・15年2着のフリントシャーのように連続年で好走するケースがあり、リピーターには注意しておきたい。

 表2は過去10年の性齢別成績。勝利数では牡馬3勝に対して、牝馬7勝。特に3歳牝馬と4歳牝馬が好成績を示している。

 3歳牝馬は13年トレヴら3勝をあげ、複勝率35.0%でトップ。4歳牝馬は12年ソレミアら最多の4勝をあげ、勝率・連対率26.7%と最も高い。引き続き3歳牝馬、4歳牝馬には注目だ。

 牡馬では出走数最多の3歳牡馬が15年ゴールデンホーンら2勝。ただし、連対率では3.8%と低い。4歳牡馬は勝ち星がなく、好走しても2・3着止まり。昨年は5歳牡馬のヴァルトガイストが勝利したものの、斤量59.5キロと重い4歳以上の牡馬は2着7回と勝ち切れないケースが目立っている。

 なお、6歳以上の馬は7頭すべて馬券圏外に敗れている。

 表3は前走レース別3着以内数。ヴェルメイユ賞組は13・14年連覇のトレヴらが勝利し、最多の3勝をあげている。愛チャンピオンS組は16年ファウンドら2勝。この組の勝ち馬2頭はいずれも前走で連対を果たしていた。

 前哨戦のフォワ賞からは昨年のヴァルトガイストが勝利。3着以内数も7回と最も多い。他にはヨークシャーオークス組(17年エネイブル)、バーデン大賞組(11年デインドリーム)、キングジョージ組(10年ワークフォース)、セプテンバーS組(18年エネイブル)が1勝ずつ。なかでもヨークシャーオークス組は17年・昨年にエネイブル、一昨年はシーオブクラスと近3年続けて連対馬を輩出。いずれもヨークシャーオークス勝ち馬が好走しており、今年も注目しておきたい。

 なお、ニエル賞組は3着2回のみで、連対馬が出ていない。

 表4は前走着順別3着以内数。前走1着馬が昨年のヴァルトガイストら近3年の勝ち馬を含む6勝をあげており、勝ち切る傾向が強い。3着以内数でも16回と過半数を占めている。前走1着で勢いに乗る馬は要注意だ。

 前走で2着・3着だった馬はそれぞれ1勝ずつ。凱旋門賞でも2・3着止まりのケースが目立っている。勝ち馬10頭はすべて前走で5着以内には入っていた。

 なお、前走6着以下から巻き返したのは、16年2着ハイランドリール(前走愛チャンピオンS7着)のみと厳しい傾向にある。

 表5は調教国別成績。地元フランス調教馬とイギリス調教馬が4勝ずつで並んでいる。ただし、フランス調教馬は出走数が抜けて多いため、イギリス調教馬が連対率・複勝率で2倍以上高い率を残している。

 好成績を残しているイギリス調教馬の中でもゴスデン調教師とデットーリ騎手のコンビは、15年ゴールデンホーン、17年・18年連覇のエネイブルと3勝。3連覇に挑んだ昨年のエネイブルは2着と惜敗したが、今年もこのコンビで出走を予定しており、史上初の3勝目なるか、大きな見どころだ。

 フランス調教馬は昨年のヴァルトガイストら4勝。ヴァルトガイストのファーブル調教師は17年2着、18年3着と好走したクロスオブスターズも管理していた。同厩舎から出走馬が出てくれば、当然注目しておきたい。

 アイルランド調教馬は16年にオブライエン厩舎の馬が上位3着までを独占。複勝率こそ低いものの、上位進出を狙う。

 ドイツ調教馬は11年デインドリームが勝利。なお、日本調教馬は勝ち星こそないものの、2着3回で連対率はイギリス調教馬に次いで高い。

 最後に表6は過去10年で好走した日本馬と今年出走予定のディアドラをまとめてみた。10年ナカヤマフェスタ、12年・13年オルフェーヴルはいずれも前走でフォワ賞を使われており、コース経験があった。また、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴルともにステイゴールド産駒だった。

 今年出走予定のディアドラはハービンジャー産駒。芝2400mの経験は3歳時に日本のオークス、昨年の香港ヴァーズの2回でともに4着に敗れている。前走のナッソーSは好位からレースを進めたものの、直線で失速して7頭立ての最下位に敗れた。昨年勝利したナッソーS時のように後方で脚を溜める形がベストだろう。データ的には正直厳しいが、海外競馬で経験を積んだディアドラの激走に期待したい。