【ドバイワールドカップデー回顧】国際レースで日本馬が5勝を挙げる快挙!
2022年03月28日 17:30
現地時間26日、ドバイ・メイダン競馬場で行われたドバイワールドカップデー。8つの国際レースに22頭を送り込んだ日本勢は、実に5つのレースで重賞勝利を収める快挙を達成した。
まずゴドルフィンマイル(G2、ダート1600m)に出走したバスラットレオン(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)がいきなり逃げ切り勝ちを飾ると、続くドバイゴールドC(G2、芝3200m)でも同じ矢作厩舎のステイフーリッシュ(牡7歳)が優勝。1レースあけてUAEダービー(G2、ダート1900m)も日本馬クラウンプライド(牡3歳、栗東・新谷功一厩舎)が先頭でゴールした。
ドバイゴールデンシャヒーン(G1、ダート1200m)以降は、JRAでも馬券が発売。ここはスイッツァランドの前に屈した日本勢だが、それでもレッドルゼル(牡6歳、栗東・安田隆行厩舎)が最後方から2着に追い込み、チェーンオブラブ(牝5歳、美浦・小笠倫弘厩舎)も後方から4着まで追い上げる善戦をみせた。
ドバイターフ(G1、芝1800m)ではドラマが待っていた。圧倒的1番人気に支持されたのはシュネルマイスター(牡4歳、美浦・手塚貴久厩舎)。しかし、結果から言うと同馬は伸びを欠き、8着に沈んだ。
これに対し吉田豊騎手を背に逃げたパンサラッサ(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)は直線に向いても粘りに粘る。昨年の覇者で名手L.デットーリ騎手騎乗のロードノースがジリジリと差を詰め、一騎討ちの様相になったところから最後の最後、大外からヴァンドギャルド(牡6歳、栗東・藤原英昭厩舎)が強襲。3頭がびっしりと馬体を並べてゴールになだれ込んだ。
最も良い末脚を披露したヴァンドギャルドだが、写真判定では真っ先に3着の表示。残り2頭で引き続き写真判定が行われた結果、なんと1着は同着。パンサラッサとロードノースが揃って優勝という結果になった。
「最後は完全に差されたと思いました。同着でも何でも勝てて良かったです。矢作先生には感謝しかありません」
手綱を取った吉田騎手は安堵の表情でそう語った。
さらに続くドバイシーマクラシック(G1、芝2410m)には5頭の日本馬が出走した。
その中からオーソリティ(牡5歳、美浦・木村哲也厩舎)が前走サウジアラビアのネオムターフC同様、ハナを切った。そして直線もよく粘っていたが、これをパスしたのが道中は3番手のインを追走していたシャフリヤール(牡4歳、栗東・藤原英昭厩舎)。C.デムーロ騎手に追われると抜け出す態勢。しかしここで大外からユビアーが猛追。ブリーダーズCターフ(G1)を勝った時と同様の末脚で先行勢を一蹴するかと思えたが、昨年の日本ダービー馬だけはこれに捕まることなく、ゴールを駆け抜けた。これがなんとこの日の日本馬の5つ目の勝利。管理する藤原調教師は次のように語った。
「そもそもダービーを勝っているように実力はある馬ですからね。普段通り順調にくれば勝てる力はあると信じていました」
優勝賞金約8億5000万円を争ったメインのドバイワールドC(G1、ダート2000m)に出走したチュウワウィザード(牡7、栗東・大久保龍志厩舎)は先頭でのゴールこそならなかったが、最後方から砂を被りまくっても怯むことなく3着まで進出。昨年の2着に続く好走で、能力が間違いなく高いところを示してみせた。勝利したのはダート大国アメリカから来たカントリーグラマーで、騎乗したのはデットーリ騎手だった。
こうして総勢22頭の日本馬が挑んだ、ドバイWCデーは幕を閉じた。先述した通り5勝を日本馬が挙げる快挙に、中東に集まったホースマンも皆、感嘆の声をあげていた。長引くコロナ禍で移動のままならない国もまだ多いが、世界を舞台にした日本馬の活躍には拍車がかかった感がある。
取材・文:平松さとし