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【来年こそは香港へ!~香港競馬観戦ガイド】 第3回:沙田競馬場ガイド

2024年12月07日 13:00

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 来年こそは香港競馬へ、という方にガイド的な内容をお届けする第3回。今回は日曜に迫った香港国際競走が行われる沙田競馬場に関するガイドをお届けします。

 まずは沙田競馬場への行き方です。香港島側の金鐘(アドミラリティ)、會展(エキシビジョンセンター)から海を渡って紅磡(ホンハム)を通り、沙田方面へと走る「東鐵線」という路線を利用します。競馬場最寄りは、開催日のみ使用される臨時駅の「馬場」駅です。レース当日はこの駅行きの列車が運行されます。他の列車ではたどり着けないので、「馬場」行きであることを確認してください。

 駅を降りると陸橋があり、競馬ファンが流れていきます。入場門のところに第1回で紹介したツーリストバッジの売り場があります。そこで会員席(メンバーエリア)に入るか、公衆席(一般エリア)で済ますか決めてください。

 タクシーなどでメンバーエリアのエントランスに乗り付けることもできるのですが、2024年現在そこが工事中で、スムースに出入りできるか微妙です。以前はメンバーの車寄せから建物に入ったところにもツーリストバッジの売り場がありました。

 会員席と公衆席の違いは、基本的には人口密度です。スタンドの1コーナー寄り、1/4~1/5程度が会員席エリアで残りが公衆席です(スタンド上部はレストランや指定席)。それでも公衆席のほうがやはり混んでいます。また会員席のほうが、勝って引き上げてきた馬を間近に見られるといったメリットもあります。

この写真の右手側が会員席エリア。(Photo by Takao Suda)
公衆席エリアを上から見下ろした様子。(Photo by Takao Suda)

 ただメインのギフトショップはパドック側関所の公衆席側にありますし、パドックも混み方が違うとはいえ公衆席側からも見ることはできます。どちらで過ごしても、競馬を楽しむことはできるでしょう。

 ちなみに会員エリアも雰囲気はかなりカジュアルというか、ラフです。後述するレストラン等についてはドレスコードを確認してほしいですが、「会員席の地べた」ならば、地元のおっさんはぞんざいな格好で来ているので服装を気にする必要はありません。

パドックの様子、手前が会員席で奥が公衆席。(Photo by Takao Suda)
メンバーエリアといっても来場者はかなりラフな服装。(Photo by Takao Suda)

 メンバーエリアの1階はそのままパドックにもコース側にも出られるので、便利です。馬券売り場は有人窓口も自動発売機も十分な数が用意されています。国際競走の発走直前でも大行列になることはありませんが、他のお客さんの迷惑にならないよう、マークカードの記入やタッチパネルの操作に自信のない方は、早めに馬券を買うようにしてください。

 せっかくなので、日本にはないものを見ておいてもよいと思います。まずは「購入金額が決められている窓口」。窓口のところをよく見ると、「毎票$××或以上」という表示があります。これは、「馬券1枚あたり××ドル以上じゃないとこの窓口は使えないよ」という意味です。1000ドルとか3000ドルといった窓口もあります。昔は日本にも「いくら以上」という窓口がありましたが、いまは無くなりましたね。

 もうひとつはハイローラー部屋。馬券プログラムに加入していてしかも年間一定額以上買っている顧客のみが入れる部屋があります。我々は入り口しか見ることができませんが、日本との文化の違いが感じられます。

会員席の有人窓口、いちばん右は馬券1枚あたり3000ドル以上と指定されている。(Photo by Takao Suda)
このタッチパネル式発売機を使いこなせると便利。(Photo by Takao Suda)

 よく聞かれる質問に競馬場グルメがあるのですが、残念ながら日本でいう「煮込み定食」のような面白い食べ物は売っていません。以前の国際競走当日に会員席1階で売っていたものを確認しましたが、カレーとかポークチョップライスとかサンドイッチとか、そんな感じでした。

 ならばいっそ、レストランや食事付指定席を予約したほうがよいかもしれません。ネット予約できる点は、第1回でご紹介したハッピーバレーと同様です。

 席やレストランの種類は多すぎてここでは紹介しきれませんので、このリンクから先をご覧ください(馬券プログラムの上級会員しか予約できない施設もあります)。

 おしゃれなデザインのヘイマーケットのように席数の少ないところは予約が埋まりがちで、パクシンレストランのように席数の多いところは、国際競走についても予約解禁と同時に取れば取りやすいようです。それぞれ内容が違うので、ニーズに応じてご利用ください。

 また内容的に重複するものもありますが、HKJCは旅行者向けに施設ガイドもまとめていますので、こちらもご参照ください。

 最後に、国際競走も迫っているので、筆者が個人的に考える各距離の特徴をご紹介しておきましょう。

 1200mは直線馬群が密集しがちで、狭いところを抜けてくるガッツが要求されます。敵の進路を塞ぐような機略も発揮されるので、沙田に乗り慣れている地元ジョッキーのうち上位の面々が有利ではと思います。

 1600mはいちばんつかみどころがないというか、展開次第で前残りにも差し競馬にもなりえます。今年の香港マイルについてはゴールデンシクスティが引退したこともあり、特に混戦になりそうです。

 2000mは絶対的に内枠有利・外枠不利です。能力や脚質で外枠を克服しようと思っても、うまくいく確率は高くありません。もちろん毎回内枠だけで決着するわけではないのですが、迷ったら内枠優先で馬券を買ってよいと思います。

 2400mはふだんほとんど使われない距離です。香港ヴァーズは毎年スローで徐々に加速していく競馬になります。前付けできるか、よほど速い上がりを使うかが好走の条件。逆に、持続力タイプの差し馬にとっては厳しい競馬になりがちです。

2000mの香港カップで3連覇が懸かるロマンチックウォリアー。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

(取材、文:須田鷹雄)