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【ジャックルマロワ賞回顧】「厳しいレース」武豊シックスペンスは後方に沈む、地元黄金チームの3歳馬V

2026年08月17日 17:30

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 欧州マイル戦線の夏の大一番、G1ジャックルマロワ賞が8月16日(日)にフランスのドーヴィル競馬場1600m芝・直線コースで行われ、日本から参戦した武豊騎手騎乗のシックスペンス(牡5=美浦・田中博康厩舎)は最下位の10着、ジョアン・モレイラ騎手騎乗のシュトラウス(牡5=美浦・武井亮厩舎)は9着に敗れ、1998年に制したタイキシャトル以来、28年ぶりとなる日本調教馬史上2頭目の同レース制覇はならなかった。

 レース5日前に大本命と目されていた通算6戦6勝、英2000ギニーを含めG1・3連勝中の英国馬ボウエコー(牡3=G.ボーウィー厩舎)が負傷により電撃引退。最大の目玉が一転、ターフを去ったことは残念だったが、日本馬にとって大きなチャンスが巡ってきたことには間違いなかった。しかし、マスカレードボールが7着に敗れた7月25日のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに続き、またしても欧州最高峰G1の壁の高さを突き付けられたレースだった。

 GI安田記念で劇的復活を遂げたJRA発売分の単勝オッズ5番人気のシックスペンスは、好スタートから外ラチに近い馬場を通って2、3番手の好位で先行。7番人気のシュトラウスはその真後ろにピタリとつけ、日本馬2頭が縦の隊列を組むようにレースを進めた。

 一方、欧州勢は対照的に馬場の真ん中へと進路を取ってひと固まり。前走のG1ジャンプラ賞を制したクリストフ・スミヨン騎手のザシークレットアドヴァーサリーが戦前の予想通りに先手を主張し、前走のG2サマーマイルSを勝ったゼウスオリンピオスが続く。1番人気に支持されたライアン・ムーア騎手騎乗のG1愛1000ギニー馬・プリサイス(牝3=愛・A.オブライエン厩舎)はちょうど馬群の真ん中だ。そして横の位置関係では、「外ラチ沿いの日本馬2頭」vs.「馬場の真ん中の欧州8頭」という図式できれいに分かれる形となった。

 そうしたレースの中、いち早く手応えが苦しくなったのは2頭の日本馬だった。まず、残り600m付近から武豊騎手が手綱を押してスピードアップを促そうとするも、シックスペンスは反応が悪くズルズル後退していく。

「良いスタートを切れましたし、いい感じかなと思っていたのですが、途中から手応えがなくなってしまい、厳しいレースでした。パドックは落ち着いていて、返し馬も心配はしていたのですが、そんなにムキにならずに走ってくれました。そこまでは上手くいったと思ったのですが、結果を踏まえるとちょっと大人し過ぎたかなと思います」と武豊騎手。

 そして、力なく下がっていくシックスペンスをパスして追撃態勢に入ろうとするシュトラウスだったが、こちらもモレイラ騎手のプッシュに応えられず脚色が鈍い。

「行きたがるところはありましたが、その後は折り合いもついて道中は良かったと思います。残り2・5ハロンのところで追い出したのですが、反応が全くなかったです。自分も最初は馬場の真ん中へ行こうと思っていましたが、スタートしてからの脚色などを考えてあの位置に。あまり良く走れなかったのは、外の馬場を選んだことに原因があったかもしれませんが、あの選択肢しかありませんでした」(モレイラ騎手)

 結局、シュトラウスは欧州馬をかわすことができず10頭立ての9着、シックスペンスは途中から追うことをやめたこともあって大きく遅れる最下位での入線となった。

 ショッキングな敗戦を受けて、シックスペンスの田中調教師は「返し馬が終わった時点で息が少し苦しそうだったということでした。あれだけ馬がリラックスしていた中で呼吸の話を受けたので、何が原因だったのか、大きな問題がないのかしっかり見極めていきたいと思います」とコメント。また、レースに関しても「右手前一本で走っていたのが気になったところです。直線競馬が初めてでしたし、上手に走れるように日ごろのトレーニングから導けなかったことが残念でした」と苦渋の表情を浮かべた。

 ただ、「ここまでは負ける馬ではないので」と続けたトレーナーは、「こうした舞台で調整できて、馬は一段とたくましくなったかなと思います。今後に向けて大きな学びになったと思いますし、まだ5歳。これからしっかり成長させていけたらなと思います」と立て直しを誓っている。秋の目標としているGIマイルチャンピオンシップに向けての反撃を期待したい。

ジャックルマロワ賞を制したライフ。(Photo by Scoopdyga)

 日本馬が後方へと沈んでいく中、夏の欧州マイル王に輝いたのは単勝3番人気、ミカエル・バルザローナ騎手が騎乗した仏2000ギニー馬のライフ(牡3=仏・F.グラファール厩舎)。馬群の後方待機からインを突いて一気に伸びると、先に抜け出したゼウスオリンピオスをゴール前で差し切り、クビ差リードでのゴールだった。

 この勝利でライフは通算6戦4勝、G1勝利は仏2000ギニーに続く2勝目。2カ月ぶりだった前走のジャンプラ賞は仕上がり途上だったか5着に敗れたものの、1回使って本来の出来に上昇したのだろう、見事なパフォーマンスでの変わり身だった。

 そして、バルザローナ騎手、グラファール調教師、さらにオーナーがアガ・カーン・スタッズというのは、昨年のGIジャパンカップを制したカランダガン、凱旋門賞を勝ったダリズと同じだ。昨シーズンから勢いが止まらないこの黄金チームから、今年はマイルの大物が登場した。

 なお、1番人気のプリサイスは中団からジリジリと伸びたものの突き抜けることはできず、2着ゼウスオリンピオスから半馬身差の3着だった。

文:森永淳洋