【世界の馬主紹介 Vol.6】アンソニー・オッペンハイマー

2018年08月29日 15:00

1937年6月11日生まれ。イギリスの馬主、生産者。長年にわたりダイヤモンド産業の最大手であるデビアスグループを支配したオッペンハイマー家の出身で、ダイヤモンドの流通をコントロールする中央販売機構のトップでもあった。

競馬への情熱は父フィリップ卿から受け継いだもの。父は1960年代にイギリスのニューマーケットにハスクーム&ヴァリアントスタッドを創設し、1982年のG1英1000ギニーとG1サセックスステークスを制したオンザハウス、1997年のG1コロネーションステークスに勝ったレベッカシャープなどを生産した。

なお、デビアスグループはG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスのスポンサーを2006年まで30年以上にわたって務め、その期間の同レースはキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスという名称で施行。1978年にはフィリップ卿が一部所有していたイルドブルボン(本邦輸入種牡馬)がこのレースに勝っている。

アンソニー・オッペンハイマーは1995年に父が亡くなったのを受けて馬関係の事業を継承。基本的には牡馬は売却し、牝馬を手元に残すスタイルだが、2015年にG1英ダービー、G1凱旋門賞、G1愛チャンピオンステークス、G1エクリプスステークスなどに勝ち、欧州年度代表馬に選ばれたゴールデンホーン(自家生産馬)は1歳時にセールに上場されたが主取りになり、アンソニーの所有馬として走ることになった(売却した生産馬には英2000ギニー馬フットステップスインザサンドなどがいる)。

2017年には自家生産馬のクラックスマンがG2グレートヴォルティジュールステークス、G2ニエル賞、そして7馬身差で圧勝したG1英チャンピオンステークスと重賞3連勝して欧州最優秀3歳牡馬に選出。クラックスマンは2018年もG1ガネー賞、G1コロネーションカップ、G1英チャンピオンステークスに優勝した。2019年はスターキャッチャーが大活躍。愛オークス、ヴェルメイユ賞、英チャンピオンズフィリーズ&メアズステークスと3つのG1を制して欧州最優秀3歳牝馬に輝いた。現役所有馬は10頭程度。

近年のG1勝ち
2019年
英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(イギリス):スターキャッチャー
ヴェルメイユ賞(フランス):スターキャッチャー
愛オークス(アイルランド):スターキャッチャー

2018年
英チャンピオンS(イギリス):クラックスマン
コロネーションC(イギリス):クラックスマン
ガネー賞(フランス):クラックスマン

2017年
英チャンピオンS(イギリス):クラックスマン

文:秋山 響(TPC)