【世界の調教師紹介 Vol.21】ジャンクロード・ルジェ

2019年07月10日 15:00

2016年4月にフランス史上初となる通算6000勝を達成した大調教師だ。

ジャンクロード・ルジェ調教師は1953年8月19日、フランスのノルマンディ生まれ。陸上選手として活躍した一方、調教師だった父クロードの下で馬に乗り、その後フランスのシャンティイやイギリスで修行を積んだ後、25歳だった1978年に自身の厩舎をフランスにおける調教の中心地であるシャンティイではなく、温暖な南フランスのポーで開業した。

開業当初は主に障害馬を調教していたが、やがて平地にシフト(障害でもフランスで計338勝)。フランソワ・マテ調教師が持っていたフランスの年間最多勝記録を塗り替える180勝をマークした1991年にはG3アンドレバボワン賞をフラナガンカクテルで制して平地重賞初制覇を果たした。

以降、驚異的なペースで勝ち星を積み重ね、勝ち鞍順でデータをとれば、これまで2020年も含めて計30度もフランスのトップに君臨。1歳時にわずか1万5500ギニー(約300万円)で購買されたミルコムでG1ジャンプラ賞(これが平地初G1)とG1パリ大賞を制するなど、1994年にマークした年間242勝は今もまだ破られていないフランス最多記録となっている。なお、ミルコムでは1995年にアメリカのG1マンノウォーステークスにも優勝した。

その後もポーを拠点(ドーヴィルにもサテライト厩舎がある)に活躍馬を送り続けており、特にここ10年は活躍が顕著。2009年にはルアーヴルでG1仏ダービー、スタセリタ(オークス馬ソウルスターリングの母)でG1仏オークスとG1ヴェルメイユ賞、イルーシヴウェーヴでG1仏1000ギニーなどを制して、初めて仏チャンピオントレーナーの座に就いた。

また、2016年にはアルマンゾルでG1仏ダービー、ラクレソニエールでG1仏オークスに勝って、史上初となる2度目の同一年仏ダービー&仏オークスのダブル制覇を果たし、自身2度目となる仏チャンピオンに輝いた。アルマンゾルは、ほかにG1アイリッシュチャンピオンステークスとG1英チャンピオンステークス、ラクレソニエールはG1仏1000ギニーにも勝った。

2017年にはブラムトでG1仏2000ギニー、G1仏ダービーの仏2冠を達成し、2018年はオルメドでG1仏2000ギニー、2019年はソットサスでG1仏ダービーに優勝。そして、2020年にはソットサスで悲願だったG1凱旋門賞制覇を達成。同時に3度目となる仏チャンピオンタイトルを獲得した。これまでG1仏ダービー4勝、G1仏オークス4勝、G12000ギニー2勝、G11000ギニー4勝。

近年のG1勝ち
2020年:
凱旋門賞(フランス):ソットサス
サンタラリ賞(フランス):タウキール
ガネー賞(フランス):ソットサス

2019年:
仏ダービー(フランス):ソットサス

2018年:
仏2000ギニー(フランス):オルメド

2017年:
仏ダービー(フランス):ブラムト
イスパーン賞(フランス):メクタール
仏2000ギニー(フランス):ブラムト

2016年:
英チャンピオンS(イギリス):アルマンゾル
愛チャンピオンS(アイルランド):アルマンゾル
ロートシルト賞(フランス):ケマー
ジャンプラ賞(フランス):ゼルザル
仏オークス(フランス):ラクレソニエール
コロネーションS(イギリス):ケマー
仏ダービー(フランス):アルマンゾル
サンタラリ賞(フランス):ジェマイエル
仏1000ギニー(フランス):ラクレソニエール

文:秋山 響(TPC)