COURSE

コース解説

オリジナル

キングアブドゥルアジーズ競馬場

概要

概要

サウジアラビアにおける組織的な競馬の施行・運営は1965年のサウジアラビアジョッキークラブ(JCSA)の設立に始まる。現在、JCSAはペルシャ湾側の首都・リヤドにあるキングアブドゥラアジーズ競馬場、リヤドから南西方向に約800㎞離れた紅海側のターイフにあるキングハーリド競馬場を所有し、前者を冬季、後者を夏季開催で使用している。

サウジアラビア王国を建国し、1953年まで治めたアブドゥルアジーズ国王の時代、競馬はリヤドのマラッツという地域で行われていた。当時は王子たちが国王所有の純血アラブ種により競い合うものだったが、そうした活動によって王家の中で競馬への関心が高まり、受け継がれていくことになった。

1965年になると組織的な競馬運営の必要性を感じたファイサル国王からの勅命によりJCSAが設立。1971年には統一ルールの下で初の馬およびラクダのレースが行われた。しかし、厩舎地区が宅地化するなどマラッツの都市開発も進み、施設の拡大や馬の移動に支障を来たすようになった。そのため、アブドッラー皇太子(後の第6代国王)が競馬の発展に資する大規模な新競馬場建設のための準備を指示。2003年1月、市街地のマラッツから約30㎞離れたジャナドリアにキングアブドゥルアジーズ競馬場が開設された。競馬場名は初代国王の「アブドゥルアジーズ・イブン・サウード」にちなんでいる。

競馬場の開場後は国内開催に注力してきたが、2019年にJCSAチェアマンでもあるバンダル王子の下で国際競馬統括機関連盟(IFHA)ブルーブックのパート1国入りに向けて国際化の方針を打ち出し、その一環としてサウジC開催を企画。超高額賞金とともに世界の競馬界での存在感を増している。

コース紹介

コース紹介

外にダートコース、内に芝コースが配置された楕円形のトラックで、大きな高低差もなくほぼ平坦。レースは左回りで施行され、一般的なアメリカの競馬場と同様の形態となっている。

ダートコースは1周2000mで直線、コーナーとも500mの距離が取られているため、カーブは比較的緩やかにできている。向正面には450mの引込線(シュート)が伸び、1600mから2000mのレースは引込線の中に発走地点がある。サウジダービー(1600m)とサウジC(1800m)も引込線からのスタートとなる。幅員は25m。

ダートの構成物質と比率については公表されていないが、砂(87%)に粘土やシルトを濃縮した物(9%)、樹皮を中心とする有機物質(4%)の混合という専門家の調査結果がある。 サウジアラビアの気候や風土が劣化しやすい有機物の使用を可能にしているため、諸外国で同じダートを再現するのは難しいとされている。キングアブドゥルアジーズ競馬場の馬場管理者は、延べ6450頭の出走で予後不良がわずか3頭というデータ(2021年)を明かしており、安全性の面でも特筆すべき高さを誇っている。馬場整備においてはスピードよりも安全性を優先し、一般的なアメリカのダートより1秒半ほど走破時計を要す傾向にある。

そのようなダートは各国の競馬関係者から「世界一」と好評を得ており、深さとクッション性を確保する一方でキックバック(馬が後方に跳ね上げる土砂)による影響が小さいことで知られている。殿堂入り騎手のM.スミスやL.デットーリの経験談では、ダートが塊になりづらく、跳ね返りも低いため、追走する馬が気力を保ちやすいという。また、ペース次第で先行も追い込みも決まるフェアな舞台とも評している。

芝コースはサウジC開催の立ち上げに合わせて2019年に新増設され、2020年から使用が開始された。1周1800mで直線は438mあり、幅員は21mが確保されている。日本の競馬場との比較では、中京競馬場の芝コース(1周1705.9m、直線412.5m)をやや大きくしたイメージに近い(幅員=最大30mは中京競馬場の方が広い)。芝コースはアスコット競馬場やFIFAワールドカップ、ウィンブルドン(テニス)などで開発を担当した英国の企業により敷設された。

なお、国際レースは全て上限14頭で行われる。

主要競走

・サウジカップ
・ネオムターフカップ
・1351ターフスプリント

アクセス