プロフィール
アンブライドルドの通算成績は24戦8勝。名馬と呼ぶには物足りないかもしれないが、勝ち鞍の中にはケンタッキーダービー、ブリーダーズカップクラシックという北米最高のレースが含まれている。その一方で2着と3着も各6回を数え、堅実ながら勝ち味に遅かった事実がある。地面からキ甲までの体高が17ハンド(約173㎝)もある巨漢馬で、C.ナフツガー調教師をして「機関車のよう」と評した走りは、勢いさえつけば誰にも止められないが、一度でも減速すると挽回が難しくなる弱点を抱えていた。
また、大柄な故に仕上がりにも時間を要し、デビュー戦を10馬身半差で圧勝しながら2戦目以降は4連敗。2勝目を手にしたのは年の瀬の2歳最終戦で、素質の一端こそ見せていたものの、クラシック戦線では後方に置かれていた。そして、その素質を騎手3年目の若き武豊が体感している。1989年の夏に2週間のアメリカ遠征をした際、デビュー前のアンブライドルドに跨って調教をつける機会に恵まれた。
2歳時は体格を持て余していたアンブライドルドだが、3歳を迎えると大きな歯車が少しずつ回りはじめる。重賞初挑戦の初戦から着順を上げ、3戦目のフロリダダービーで重賞初制覇。次戦のブルーグラスSはスピード優先の重馬場で後れを取ったものの、唯一の重賞勝ちが物を言ってKYダービーのゲート入りを果たした。
大レースを勝つ時は「行く先々の進路が開く」と言われるが、KYダービーのアンブライドルドはまさにそれだった。中団馬群の外から第3コーナーで内ラチ沿いへ、最終コーナーでは再び外へとスムーズにシフト。「アウト・イン・アウト」の理想的なコーナリングで加速し、3馬身半突き抜けて鮮やかに夢のタイトルを手にした。しかし、二冠目のプリークネスSは巧みに内を立ち回ったサマースコールに屈し、最も条件が適していると思われていたベルモントSも、欧州から参戦したゴーアンドゴーに完敗してしまう。ナフツガー師は三冠戦の厳しい日程を考慮し、調教を手控えたことを敗因に挙げた。
その後、条件戦で力の違いを見せつけたアンブライドルドは、芝のセクレタリアトSを挟むなど異例の臨戦でBCクラシックに出走すると、大外枠から内ラチ沿いに潜り込み、直線では先行する2頭の間を抜けて快勝。“機関車”はKYダービーと同様、そこにレールが敷かれているかのように10ハロンを滑らかに走り切った。ただ、KYダービーとの同一年制覇は前年のサンデーサイレンスに続く2頭目の快挙だったものの、取りこぼしも多いアンブライドルドは年度代表を逃し、最優秀3歳牡馬のみに終わる。
アンブライドルドは4歳も現役を続けたが、初戦で条件不適の7ハロン戦を豪快に制した後は蹄の不安に悩まされ、連覇が懸かったBCクラシックでブラックタイアフェアーに逃げ切りを許すなど、重賞を勝てないまま種牡馬入りすることになった。
それでも、アンブライドルドは種牡馬としてより眩しく輝いてみせた。初年度産駒のアンブライドルズソングがBCジュベナイル、同じくグラインドストーンはKYダービー父子制覇で最高のスタートを切る。その後もレッドバレットがプリークネスS、エンパイアメーカーはベルモントSを勝ち、異なる産駒で三冠制覇を達成するなど、10世代を残して2001年に14歳で早世するまでに産駒がG1レースを10勝。アンブライドルズソングやエンパイアメーカーは後継種牡馬としても大成功し、今日の競馬界に多大な影響を与え続けている。
生年 | 1987 |
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性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
父 | Fappiano |
母 | Gana Facil |
母父 | Le Fabuleux |
調教師 | C.ナフツガー |
生産者 | Tartan Farms Corporation |
馬主 | Frances A.Genter Stable Inc. |
通算成績 | 24戦8勝[8-6-6-4] |
開催日 | 場所 | レース名 | 動画 | 着順 | 騎手 | トラック | 距離 | 馬場状態 |
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1991/11/02 | チャーチルダウンズ | ブリーダーズカップクラシック(G1) | 3 | C.ペレット | ダート | 2000 | 良 | |
1991/10/06 | キーンランド | ファイエットハンデキャップ(G2) | 2 | C.ペレット | ダート | 1800 | 良 | |
1991/08/10 | デルマー | パシフィッククラシック(L) | 3 | C.ペレット | ダート | 2000 | 良 | |
1991/08/03 | アーリントンパーク | 条件戦 | 1 | P.デイ | ダート | 1400 | 良 | |
1991/05/11 | ピムリコ | ピムリコスペシャルハンデキャップ(G1) | 6 | C.ペレット | ダート | 1900 | 良 | |
1991/04/13 | オークローンパーク | オークローンハンデキャップ(G1) | 5 | P.デイ | ダート | 1800 | 不良 | |
1991/03/16 | ガルフストリームパーク | デピュティミニスターハンデキャップ(L) | 1 | P.デイ | ダート | 1400 | 良 | |
1990/10/27 | ベルモントパーク | ブリーダーズカップクラシック(G1) | 1 | P.デイ | ダート | 2000 | 良 | |
1990/09/23 | ルイジアナダウンズ | スーパーダービー(G1) | 2 | J.ベレスJr. | ダート | 2000 | 良 | |
1990/09/03 | アーリントンパーク | セクレタリアトステークス(G1) | 2 | E.ファイアーズ | 芝 | 2000 | 良 | |
1990/08/18 | アーリントンパーク | 条件戦 | 1 | E.ファイアーズ | ダート | 1600 | 良 | |
1990/06/09 | ベルモントパーク | ベルモントステークス(G1) | 4 | C.ペレット | ダート | 2400 | 良 | |
1990/05/19 | ピムリコ | プリークネスステークス(G1) | 2 | C.ペレット | ダート | 1900 | 良 | |
1990/05/05 | チャーチルダウンズ | ケンタッキーダービー(G1) | 1 | C.ペレット | ダート | 2000 | 稍重 | |
1990/04/14 | キーンランド | ブルーグラスステークス(G2) | 3 | C.ペレット | ダート | 1800 | 重 | |
1990/03/17 | ガルフストリームパーク | フロリダダービー(G1) | 1 | P.デイ | ダート | 1800 | 良 | |
1990/03/03 | ガルフストリームパーク | ファウンテンオブユースステークス(G2) | 3 | P.デイ | ダート | 1700 | 良 | |
1990/01/14 | コールダー | トロピカルパークダービー(G3) | 5 | C.ペレット | ダート | 1800 | 良 | |
1989/12/24 | コールダー | 条件戦 | 1 | J.ベレスJr. | ダート | 1700 | 良 | |
1989/10/22 | コールダー | 条件戦 | 2 | J.ベレスJr. | ダート | 1700 | 良 | |
1989/09/24 | カンタベリー | 条件戦 | 2 | M.スミス | ダート | 1600 | 良 | |
1989/09/13 | アーリントンパーク | 条件戦 | 3 | M.スミス | ダート | 1400 | 不良 | |
1989/08/23 | アーリントンパーク | 条件戦 | 3 | M.スミス | ダート | 1300 | 良 | |
1989/08/02 | アーリントンパーク | 未勝利戦 | 1 | M.スミス | ダート | 1200 | 良 |
距離 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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~1400m | 3 | 0 | 2 | 0 | 5 | 60% | 60% | 100% |
1401m~1800m | 3 | 3 | 2 | 2 | 10 | 30% | 60% | 80% |
1801m~2100m | 2 | 3 | 2 | 1 | 8 | 25% | 63% | 88% |
2101m~ | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0% | 0% | 0% |
馬場状態 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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良馬場 | 7 | 6 | 4 | 3 | 20 | 35% | 65% | 85% |
稍重馬場 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 100% | 100% | 100% |
重馬場 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0% | 0% | 100% |
不良馬場 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0% | 0% | 50% |