【ブリーダーズC】森師にとって競馬に国境なし 管理馬36頭が外国産馬
2021年11月05日 15:15
<Big Challenge 日本馬初のBC制覇へ(4)>
海外遠征のパイオニア森秀行調教師(62)にとって、競馬に国境はない。その信念は、19年に続く2度目のBCスプリントに挑むマテラスカイの戦績にもよく表れている。キャリア35戦のうち中央22戦、地方7戦。そしてUAE3戦、サウジアラビア2戦、米国1戦。より稼げる戦場を求めて世界中を駆け回ってきた。
常識にとらわれない。現在の管理馬57頭のうち、なんと36頭を外国産馬が占める。すべて米国産。今回の出走馬4頭も該当しており「“外車”なので空輸を経験している」と利点を明かす。日本の他厩舎3頭が先月22日に渡米したのに対し、本番1週間前の同29日まで日本に残って調整した。「普段は坂路で乗ってるから、早く行って(坂路がない米国で)平たんコースで乗ると加減が分からないし、オーバーワークになるから」。独自のメソッドは、確かな根拠に裏打ちされている。
BC競走には00年に初めて挑み、19年からは3年連続の出走となる。「最高峰といわれるレース。世界中から強い馬が集まる」とした上で「相手は強いけど、やっていけば、そのうちチャンスはある」と不敵な笑みを浮かべる。日本調教馬として海外G1初制覇を果たした98年モーリスドゲスト賞(シーキングザパール)から23年。その開拓者精神は今も健在だ。【太田尚樹】(おわり)
◆BC最多挑戦 森師は日本調教師として米BC最多挑戦を誇る。00年アグネスワールド(スプリント8着)をはじめ、19年フルフラット(ジュベナイル5着)、マテラスカイ(スプリント8着)、20年ジャスパープリンス(スプリント14着)と、これまで挑戦した日本調教馬13頭のうち4頭を占める。今年出走の4頭を加えると、のべ8頭。日本勢悲願の初勝利となるか。