伏兵トリプルタイム、英G1クイーンアンSでフランケルとの父子制覇
2023年06月21日 12:00
2023年のロイヤルアスコット開催が現地20日にアスコット競馬場で幕を開け、口火を切るG1クイーンアンステークス(4歳以上、芝8ハロン)は、掛かり気味に先行した伏兵トリプルタイム(9番人気タイ)が、中団から追い上げる2番人気インスパイラルを差し返して波乱を呼んだ(クビ差)。
11番枠(12頭立て)のトリプルタイムは、中央に寄っていく馬群から離れて掛かり気味の序盤戦。逃げる6番人気ライトインファントリーに鞍上が抑え切れない感じで並びかけ、インスパイラルは1番人気のモダンゲームズとともに3、4列目の中団につけた。
インスパイラルは馬群の内ラチ方向からスムーズに進出。残り1ハロン地点でトリプルタイムを捕らえたが、体半分ほど前に出るとトリプルタイムが勝負根性を発揮して差し返し、ゴール前でねじ伏せるように逆転した。
2馬身1/2馬身差の3着にライトインファントリーが粘り込み、モダンゲームズは勝ち馬の後ろから伸び切れずさらに3/4馬身差の4着に敗れた。
トリプルタイムはK.ライアン調教師が管理するフランケル産駒の4歳牡馬で今回がG1初挑戦。昨年9月に1年ぶりの実戦となったG3スペリオールマイルステークスで重賞初挑戦、初制覇を飾ったが、続く仏G2ダニエルウィルデンシュタイン賞では7着に敗れて再び休養に入り、この日は8カ月半ぶりの4歳初戦だった。
英競馬メディア『attheraces.com』などによると、ライアン師はトリプルタイムが今季初戦に予定していたロッキンジステークスの直前に胃けいれんを起こしたと明かすとともに、昨年の2戦もスペリオールマイルSはシーズン終了が近づき80%の状態で仕方なく使い、ダニエルウィルデンシュタイン賞は例外的な道悪だったと説明。「彼のシーズンが順調に行ってくれればね」「今日はとんでもない日になった。これでプランを組める」とG1制覇を喜んでいる。
また、今季初戦で惜しくも2着に敗れたインスパイラルを共同管理するJ.ゴスデン調教師は「スイッチが切れたね。彼女は全て正しくやっていたし、やり切ったと思ったが、もう1頭の馬がカムバックしてきた」と勝者を称え、今後についてはサセックスステークスとジャックルマロワ賞などを候補に挙げている。