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【凱旋門賞】スルーセブンシーズ、見せた日本馬の可能性 G1未勝利も光った陣営の英断

2023年10月03日 14:45

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<凱旋門賞>◇1日=パリロンシャン◇G1◇芝2400メートル◇3歳上牡牝◇出走15頭◇1着賞金4億4300万円

 凱旋門賞制覇はそう遠くないかもしれない。日本から単騎参戦したスルーセブンシーズ(牝5、尾関)が4着と健闘した。

 やや重と近年では比較的いい馬場で、勝ち時計は2分25秒50と速かった。馬場が向いたとはいえG1未勝利、初の海外遠征で能力をフルに発揮した。地元フランスのエースインパクト(牡3、JC・ルジェ)が無傷の6連勝で優勝した。

   ◇   ◇   ◇

 “七つの海を越えて”。馬名の由来通り、スルーセブンシーズが海を越えて世界に実力を見せつけた。道中は後方のインで脚をためた。向正面の上り坂、下りながらのカーブ、フォルスストレート(偽りの直線)。地の利がない日本馬に牙をむく舞台に一切惑わされなかった。最後の直線は馬群の間を狙った。ルメール騎手がさばきながら4着まで押し上げた。

 尾関師 直線の素晴らしい伸びには、自分の厩舎管理馬ながらも感動する走りでした。4着という結果は本当に頑張ってくれましたし、頑張ったスルーセブンシーズを褒めてあげたいです。

 フランスギャロが公式サイトで公開しているトラッキングリポートによれば、スルーセブンシーズの上がり3ハロンは33秒30。1着エースインパクトと3着オネスト2頭の最速33秒06に次ぐ数字だ。レースは533メートルの平たんな最後の直線での瞬発力勝負になり、スルーセブンシーズも爆発力を見せた。勝ち時計の2分25秒50は、11年にデインドリームがマークした2分24秒49のレースレコードに迫った。今年は近年に比べて馬場が乾き、速い時計の決着。日本馬に向いたことが好走の1つの要因と取れる。

 もっとも重賞1勝、G1未勝利馬でも、陣営が欧州への適性を信じて凱旋門賞を選択した英断も見逃せない。日本国内、フランス渡航後もしっかりと調整を積んできた。ルメール騎手は「レベルの高い競馬をしてくれたと思います。彼女のベストパフォーマンスができたと思います」とたたえた。実績で劣っても、世界の一線級と互角に戦えた。スルーセブンシーズは日本馬の新たな可能性を示した。

■一夜明け、カイバも食べてひと安心

 凱旋門賞から一夜明けた2日、スルーセブンシーズは厩舎内で引き運動を行った。尾関師は「全体的に普段の立ち振る舞いと変わらないですし、カイバも食べられており、まずはひと安心しております。しっかりと今後の状態を見届けて、無事に帰国の途につけるように尽力してまいります」とコメントした。

出典:日刊スポーツ