「調教師生活で最悪の騎乗だった」激怒した調教師がフランス出身の若き名手を猛烈批判
2025年06月23日 14:15

英国のレーシングポスト電子版は22日、その週の関係者のヒットコメントをまとめたコラム「今週の名言(クオートオブザウイーク)」を更新した。17日から21日まで5日間にわたって英国王室が主催する「ロイヤルアスコット」開催が行われた1週間をまとめたコラムの見出しは「彼の乗り方では何もわからない。とにかくひどい騎乗だった」。ロイヤルアスコット開催の2日目(18日)のメイン競走、G1プリンスオブウェールズSで6着に敗れたファクトゥールシュヴァル(セン6)のジェローム・レニエ調教師が鞍上のファビアン・プラ騎手を痛烈に批判したコメントを取り上げている。
ファクトゥールシュヴァルはフランス調教馬で、昨年のドバイターフでナミュールを破ったことで日本のファンにも知られるG1ホース。今年は中東遠征でダートに挑戦し、ドバイのアルマクトゥームチャレンジで3着、サウジCで7着の後、芝に戻って、連覇がかかったドバイターフは6着に敗れていた。これまでは1600~1900メートルの距離を走っており、今回は初めての10ハロン戦。6番人気タイの低評価だったが、鞍上にフランス出身で現在は米国を拠点にするトップジョッキー、ファビアン・プラ騎手を起用することで注目を集めていた。
21日のレーシングポスト電子版の記事は「私の管理馬にとっての最悪の騎乗」というタイトルで激怒するレニエ師のコメントを紹介。レニエ師はプリンスオブウェールズSのレースから2日経った後も怒りがおさまらず、「騎手がまったく助けてくれなかったにもかかわらず、馬はいい走りをしてくれました。私の調教師生活で、私の管理馬に与えられた最悪の騎乗だったと思います。速いペースのレースの中で、彼(プラ騎手)はペースメーカーを追いかけることを選びました。スリーワイド(大外)をまわって、すごく外を走って追い上げました。(現在活躍している米西海岸の)サンタアニタやデルマーのような短い直線と平たんな馬場のコースだと思っていたのでしょう。ああいうスタイルの騎手を使うのは賢明ではなかった。最悪だったのは、ファクトゥールシュヴァルが2000メートルを走りきれるかどうかについて、まったくわからなかったことです。彼(プラ騎手)の乗り方では、それを知るすべがなかった」と、プラ騎手を猛烈に批判した。
今年のプリンスオブウェールズSは8頭立てで、ファクトゥールシュヴァルは道中4番手を追走。直線半ばで先頭に立つ勢いだったが、最後は伸びを欠いて6着に沈んでいる。
ファビアン・プラ騎手はフランス出身で、現在は米国を拠点にしている。歴史的名馬フライトラインの主戦ジョッキーを務め、昨年はシエラレオーネでBCクラシックを制した32歳の若き名手。今回のファクトゥールシュヴァル騎乗はオーナーサイドの希望で実現していた。
レニエ師はファクトゥールシュヴァルの次走について、7月27日にドイツで行われるダルマイヤー大賞(G1、芝2000メートル、ミュンヘン)を候補に挙げ、「ファクトゥールシュヴァルは年齢を重ねて、2000メートルの距離をこなせるようになったと信じていますし、もし(仕掛けを)我慢して乗っていれば、好勝負になっていて、ゴールまでしっかり走りきれたはずです」とコメントしている。プラ騎手に対し、猛烈な批判を行ったレニエ師だが、開催最終日だった21日には管理馬ラザットでクイーンエリザベス2世ジュビリーC(G1)を制し、自身のロイヤルアスコット開催初勝利を挙げている(2着はサトノレーヴ)。