ブリーダーズカップフィリー&メアターフ
2021/11/7(日) 06:01発走 デルマー競馬場
実績は引けを取らないラヴズオンリーユー、日本調教馬初のBC制覇へ
日本調教馬の参戦そのものが活発ではなかったこともあり、今年で38回目の開催ながら勝利に手が届いていなかったブリーダーズカップ(BC)だが、フィリー&メアターフに挑むラヴズオンリーユーは実績、実力からも初制覇を期待できる1頭。日曜日の早朝に見届ける日本のファンに是非とも朗報を届けてもらいたい。
ラヴズオンリーユーが築いてきた実績、とりわけ今年の戦績は出走馬の中でも屈指といえるだろう。4月に香港のクイーンエリザベス2世Cで2年ぶりのG1制覇を飾り、その前走はドバイシーマクラシックで結果こそ3着も、欧州で現役最強クラスのミシュリフとわずかにクビふたつ、約半馬身差の接戦を演じた。北米の牝馬芝戦線は欧州からの遠征馬や移籍馬の活躍が目立つが、欧州の牡馬とも互角の力量は胸を張れる。枠順抽選後に発表された前売りではラブと並ぶ2番人気と、現地で高い評価を受けているのも当然だろう。
そのラブは今季初戦のプリンスオブウェールズSこそ10か月ぶりをものともせず快勝したが、次戦のキングジョージ、さらに英インターナショナルSでミシュリフに完敗。着差の単純比較ではラヴズオンリーユーに対して分が悪い。前走のG2は勝ち馬より9ポンド(約4.1kg)重い斤量で短アタマ差の2着なら許容できるが、この中間に凱旋門賞を熱発で取り消してきた臨戦も気になるところ。かねてより良馬場向きの評価をされてきただけに、堅い馬場で戦えそうな今回は真価を問われる。
この2頭を抑えて前売り1番人気に推されているのが地元・アメリカのウォーライクゴッデス。前哨戦のフラワーボウルSでG1初制覇を飾ったばかりだが、それを含む重賞4連勝中で通算7戦6勝と底を見せていない。後方から追い込みに近いスタイルだけに、重賞で1度しか経験のない10頭を超える多頭数、これまでとは違う強力な相手に差し脚が通用するかは未知数だが、目下の4連勝はレースごとに内容を良化させており、勢いと臨戦過程においては申し分ない。
連覇がかかるアウダーリャは4番人気に甘んじる形となった。今年の大外12番枠に対して昨年は11番枠から勝利を収めているが、ゲートから素早く中団の内に導いた鞍上の手腕によるところも大きかった。また、昨年から300m延びる2200mの距離も未経験。今年はプリンスオブウェールズSでラブに敗れたほか、ジャンロマネ賞2着、オペラ賞4着と、直近2戦も昨年より1つずつ着順を落としての参戦と、上位3頭ほどの強調材料に欠ける点は否めない。
オペラ賞でアウダーリャらを下し、G1初制覇を飾ったルジールが7倍の前売り5番人気。オペラ賞では2番手から残り200m付近まで手綱を押さえられたままのアウダーリャを後方から豪快に差し切った。ただ、当時は1年ぶりの白星だった上に凱旋門賞と同日のかなり重い馬場状態。良績も重めの馬場に偏っている感があり、対照的な馬場になりそうな今回は試金石と見ておくべきか。
6番人気で並ぶゴーイングトゥベガスとアカネラは13倍と離され、優勝争いはルジールまでの5頭に絞られている印象だが、ゴーイングトゥベガスは前走のロデオドライブSでG1初制覇を飾るなど3連勝中。今年はデルマー競馬場の芝で前々走のG2ジョンC.マビーSなど2戦2勝と、カリフォルニア調教馬の地の利もある。ロデオドライブSは逃げ切り、ジョンC.マビーSは2番手からと先行力を武器にしており侮れない。
(渡部浩明)