見どころ
コーフィールドCは実績不足を補えるハンデ戦、チェスナットコートとソールインパクトにも勝機
コーフィールドカップと2週余り先のメルボルンカップの両方を勝つことは「カップス・ダブル」と呼ばれ、豪州ホースマンたちの夢とされる。それは同時にコーフィールドCがメルボルンCにとって最重要の前哨戦という関係性を含んでおり、日本で両レースの馬券が発売されることになった今年は、結果だけではなく次を見据えて内容にも注目したい。
日本から3年ぶりの挑戦となるチェスナットコートは、日経賞での2着こそあるもののオープンクラスでの勝ち鞍がなく、G1では実績不足の立場。戦績だけを見れば勝ち目はないように見える。ただ、日本調教馬としてコーフィールドCに初挑戦し、勝利へあと一歩と迫ったアイポッパーは、オープン級で阪神大賞典2着の他に万葉ステークス勝ちの実績があるだけだった。
それから13年が経過して日本馬の国際的評価も上がり、アイポッパーの54kgに対してチェスナットコートは55.5kgと、実績に対してハンデキャップが上積みされているが、2014年に日本調教馬としてコーフィールドCを初制覇したアドマイヤラクティも、オープン級での勝ち鞍はG3ダイヤモンドSの1勝しかなかった。しかもそれを最後に、1年8か月も勝利から遠ざかっていたにもかかわらず、コーフィールドCでのハンデは58kg。今回のどのメンバーよりも重い斤量を課されていた。
そうした比較において、チェスナットコートにも勝機は十分にあると言えるだろう。アドマイヤラクティと同じハーツクライ産駒という血統面の後押しも心強い。昨年に改定されたハンデキャップのルールにより、ここを勝ったとしてもメルボルンCでは0.5kgしかハンデが増える余地がない。つまり、カップス・ダブルの夢が大きく開けることになるだけに、初戦から大いに期待したいところだ。
また、滑り込みで出走にこぎつけたソールインパクトの強運も見逃せない。日本のG1レースなどでも、抽選突破や繰り上がりで出走を果たした馬の激走がしばしば見られる。ソールインパクトは左回りの2400mで4戦1勝、3着3回と入着率100%。その一方で、一瞬しかない脚の使い所が難しく、東京や新潟のような長い直線では決め手を欠いてきた。コーフィールド競馬場の直線は400m弱しかなく、互角以上に戦える条件がそろっている。大外枠は痛手となったが、現地で武者修行中の坂井瑠星騎手とともに無欲の大駆けを決めてほしい。
コーフィールドCにおける外国馬(オセアニア域外)は1998年のトーファンズメロディを手始めに、昨年までの20年間で4勝と5年に1頭のペースで誕生。直近の優勝馬は4年前のアドマイヤラクティだけに、そろそろ次の1頭が勝利を収めるタイミングか。とくに英国調教馬の成績が良く、日本勢以外ではG1連勝中のベストソリューション(英国)、アイルランド調教馬だが昨年の英ダービー2着馬ザクリフスオブモハーが実力上位。最内枠を引いたドゥレット(英国)も前々走でベストソリューションと接戦を演じており侮れない。
中心勢力はやはり地の利がある豪州調教馬となろう。現地ブックメーカーの前売りではヤングスター、キングズウィルドリーム、エースハイ、ホームズマンが単勝10倍を切るあたりで人気を形成している。ただし、昨年は単勝51倍のブームタイム(ハンデ52kg)と同31倍のシングルゲイズ(ハンデ53kg)のワンツーで大波乱の決着となっており、ゴール前で全馬横一線を前提としているハンデ戦らしく一筋縄ではいかないだろう。