日本馬挑戦の歴史
記録に克明、記憶に鮮やか、ジャスタウェイの圧勝劇
ドバイターフ(デューティフリー)の創設当初は日本調教馬の参戦が少なく、2001年にワールドカップでトゥザヴィクトリー、シーマクラシックでステイゴールドが成果をあげていたのに対し、2006年の段階でも計3頭が出走していたに過ぎなかった。
そうした歴史の中で、半年前に天皇賞(秋)とマイルCSを連勝するなど絶頂期にあったダイワメジャー、G1未勝利ながらも叩き台の京都記念を迫力満点の走りで完勝し、本格化の気配を見せはじめた次代のエース候補アドマイヤムーンが参戦した2007年は、初制覇のチャンス到来とばかりに大きな注目を集めることになった。
レースでは日本の2強が抜群の手応えで流れを支配。ダイワメジャーを前に見ながら進んだアドマイヤムーンは直線入り口から一気のスパートで突き抜ける。抜け出すのが早すぎて最後に詰め寄られる場面こそあったものの、半馬身の着差以上に圧倒的な印象を残し、日本に初めてタイトルを持ち帰った。
ただ、その後も日本馬のドバイターフ参戦が活性化することはなく、6年間で3頭(計4回)が出走するに留まった。成績もウオッカの4着(2008年)が最高だったが、2014年になると3頭が大挙遠征。それまでの引っ込み思案を忘れたかのような頭数もさることながら、記録と記憶の空白を埋め合わせるようにジャスタウェイが圧巻の走りを披露する。
ともに遠征したトウケイヘイローが作る弛みないペースに乗ったジャスタウェイは、絶好の手応えのまま直線の残り300mで先頭に立つと、レース史上最大の6馬身1/4差を開く独走でゴールを駆け抜けた。その着差に加え、従来のレコードを2秒余り短縮する驚異のパフォーマンスにより獲得した公式レーティング130は、年間を通じて更新されることなく、そのまま2014年の世界最高となった。
2016年にはリアルスティールが遠征。前年に圧勝したソロウが直前回避して混戦の様相を呈す中、終始外を走らされる不利を克服して残り200mから先頭に抜け出し、半馬身のリードを守り切って待望のG1タイトルを手に入れた。続く2017年は断続的に雨が降り続き悪コンディションに見舞われたものの、ヴィブロスが小さな体をダイナミックに躍動させて鮮やかに差し切り勝ち。あのウオッカでさえ跳ね返されたドバイターフを、日本の牝馬として初めて制覇した。
年 | 馬名 | 性齢 | 着順 | 騎手 | 調教師 |
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2017 | ヴィブロス | 牝4 | 1 | J.モレイラ | 友道康夫 |
2016 | リアルスティール | 牡4 | 1 | R.ムーア | 矢作芳人 |
2014 | ジャスタウェイ | 牡5 | 1 | 福永祐一 | 須貝尚介 |
ロゴタイプ | 牡4 | 6 | C.デムーロ | 田中剛 | |
トウケイヘイロー | 牡5 | 7 | 武豊 | 清水久詞 | |
2012 | ダークシャドウ | 牡5 | 9 | 福永祐一 | 堀宣行 |
2009 | ウオッカ | 牝5 | 7 | 武豊 | 角居勝彦 |
2008 | ウオッカ | 牝4 | 4 | 武豊 | 角居勝彦 |
アドマイヤオーラ | 牡4 | 9 | 安藤勝己 | 松田博資 | |
2007 | アドマイヤムーン | 牡4 | 1 | 武豊 | 松田博資 |
ダイワメジャー | 牡6 | 3 | 安藤勝己 | 上原博之 | |
2006 | ハットトリック | 牡5 | 12 | O.ペリエ | 角居勝彦 |
アサクサデンエン | 牡7 | 16 | 武豊 | 河野通文 | |
2001 | イーグルカフェ | 牡4 | 9 | 武豊 | 小島太 |