ムーランドロンシャン賞 2025/9/7(日) 22:50発走 パリロンシャン競馬場

見どころPREVIEW

日本調教馬として唯一、参戦するゴートゥファースト。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

G1に目途立てたゴートゥファースト、滞在2戦目で上位争いの期待も

日本からゴートゥファーストが参戦し、初めて馬券発売されることになったムーランドロンシャン賞。試金石のジャックルマロワ賞では見せ場十分の5着と目途を立てる内容を残しており、今回はもう一歩の前進に期待が高まる。同日のフォワ賞で凱旋門賞へ向けて始動するビザンチンドリームともども楽しみにしたい。

秋のパリは天気も気になるところだが、現地気象台の予報では週末にかけてにわか雨こそあるものの、概ね晴れで極端な馬場の悪化は避けられそう。また、舞台のパリロンシャン競馬場では夏場にフォルスストレートの排水などコース全体の改修工事を実施し、8月末から運用を開始した。馬場のコンディションが安定するまで1か月ほど要すとのことだが、凱旋門賞を占う上でも見逃せないポイントになる。

ジャックルマロワ賞のゴートゥファーストは直前を走る勝ち馬に突き放されての5着。約3馬身差は完敗で、上位4頭のレーティングからも実力が反映された内容と受け止められる。ただ、海外遠征やG1挑戦、直線レースという初物尽くしの状況から、休み明けから叩き2戦目、コーナーのあるコースと好転する条件に上位争いの可能性も見いだせる。

前売り人気はロザリオンとアンリマティスが頭ひとつ抜けた存在となっている。ロザリオンは1番人気に推されていたジャックルマロワ賞を脚の打撲により直前で回避したが、1週間と開けずにG1シティオブヨークSに出走した。結果は4着も1馬身圏内の接戦を演じており、不安が解消されたなら今回も持ち味の堅実性で勝ち負けに加わってきそうだ。


前売り上位人気のロザリオン。(Photo by Getty Images)

アンリマティスは4か月前に今回と同舞台の仏2000ギニーを制している。その後はセントジェームズパレスS(2着)、サセックスS(3着)とG1で手堅いながらも2連敗し、サセックスSでは道中並走のロザリオンに2馬身1/4差をつけられた。当時と同様に僚馬セレンゲティをペースメーカーに使うようだが、ジャックルマロワ賞では逃げる作戦が裏目に出たというザライオンインウィンターとともに、チームでの対抗策が必要かもしれない。

5月のロッキンジSでは1着リードアーティスト、2着ダンシングジェミナイが、3着のロザリオンに2馬身余り先着。ただし、当時のロザリオンは11か月ぶりの休み明けで、それぞれ次戦のクイーンアンSでは逆転された。実際にG1を勝っており、ロッキンジSが初挑戦でもあったリードアーティストには伸びしろがありそうな一方、ダンシングジェミナイは前走のジャックルマロワ賞でも最後に脚勢が鈍って惜敗。昨年の仏2000ギニーで2着の舞台実績を頼みに詰めの甘さを埋め合わせできるか。

前走で7月のG3メシドール賞に出走していたのはクドワー(1着)、アルカントール(4着)、マハバヤサナフィ(9着)の3頭。その比較ではクドワーを上位と見るのが順当だが、過去のG1挑戦では壁を感じさせている。一方、アルカントールは昨年の仏2000ギニーでダンシングジェミナイと短クビ差(3着)、マハバヤサナフィも2年前に仏2000ギニー勝ちという同舞台でのG1実績がある。

アルカントールはムーランドロンシャン賞で最多8勝を誇るA.ファーブル調教師の管理馬。凱旋門賞前日のG2ダニエルウィルデンシュタイン賞でも3着とコース適性は高そうで侮れない面がある。前々走は良馬場のG2ベット365マイルでダンシングジェミナイに完敗しており、クドワーともども好走には少しでも天気の助けが欲しい。また、マハバヤサナフィの仏2000ギニーは9頭立ての8番人気という人気薄。その後はG3とリステッドで計2勝しかできておらず、再び大駆けがあればというところ。

仏2000ギニーの出走経験では今年の9着馬サーランが追加登録してきた。当時はスタート直後の不利で後方2番手からの追走となり、最後も馬群を縫うようにしてゴールという不本意な内容。前走のG3ダフニス賞では直線半ばまで前が壁になるも、一気に抜け出すと最後は抑える余裕で重賞初制覇を飾った。通算5戦と発展途上には違いないが、約1000万円の追加登録料を回収するには3着以上の結果が必要で軽視禁物か。

パーシカはロッキンジSで先行するスピードこそ見せたものの、ペースが上がった終盤についていけなくなり最下位。それを含む過去3戦のG1では完敗している。ちなみにロザリオンと同厩だが馬主は異なる。

(渡部浩明)