昨年7月のデビュー戦（芝1200m）は出遅れ。押せども進まず中間点では馬群から7、8馬身離される万事休すの展開となったが、直線を迎えると外ラチに近い位置から豪快に末脚を伸ばし、前の13頭をゴボウ抜きにして鮮烈な勝利を飾った。直線400mで記録したラップは次位に1秒余りの大差をつける21秒22。2か月前に同じ1200mのG1チェアマンズスプリントプライズで強烈な追い込みを決め、その名を世界にとどろかせたシャトークアの22秒28をも大きく上回った。余りの豪脚に地元ファンもハートを鷲掴みにされ、馬名はパキスタンスターながら香港スターへの階段を昇りはじめる。

追い込み一手の不器用なレースぶりは改まらず、3戦目から3連敗して3勝目を挙げたのは4歳3冠戦の直前。続く香港クラシックマイルで5着に終わると、残る2戦とも2着に終わり、ラッパードラゴンによる3冠制覇の引き立て役に回ってしまった。ただ、距離延長とともにレース内容は安定し、3冠馬に初戦でつけられた3馬身3/4差を香港ダービーでは1馬身3/4差まで詰めている。ラッパードラゴンはダービー後にG2チェアマンズトロフィー（1600m）も快勝。暮れの香港マイル優勝馬ビューティーオンリーを半馬身差の2着に退けており、その比較からパキスタンスターが通用しても何ら不思議はない。