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【香港国際競走現地レポート】気になる日本馬の状態は?クールモア勢にも要注意

2023年12月08日 16:50

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12/8の現地調教に出た日本馬では、まずダノンザキッドがAWに入った。前日配布された予告では馬場入りしない予定だったので、状態としては良いと解釈してもよさそうだ。温暖で多湿の香港が向いている手応えもある。

マッドクールは馬場入り時テンションが高かったが、キャンターに入ってからはストライドが伸び、抑えきれない勢いだった。好調と期待してよさそうだ。

昨日馬場入りしなかったレーベンスティールは芝コースに入った。前日の助手コメントでも話に出ていたが、今日の記者会見でも田中博康師が、「少しスクミぎみだったので昨日自重し、今日芝に入れました」との旨を話した。ファンとしては心配になる面もあるだろうが、海外遠征は全てが上手くいくほうが珍しい。なにかを自重したほうが良い結果に繋がることもある。

芝コースで調教を行うレーベンスティール(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

中内田厩舎の2頭は揃ってAW入りしたが、併せるのではなくそれぞれ単騎で軽いキャンター。良く見せたのはプログノーシスで、ペースを緩めてからは少し潜るそぶりを見せたが、もともと「乗りやすい」というタイプで、心配する必要はないだろう。

オールウェザーコースで調教を行うプログノーシス(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

セリフォスはよしあし以前に調教での評価が難しい馬だし、ましてキャンターだけだとさらに難しい。1週前も直前もガチャガチャしていた今年の安田記念が2着で、まだ少しまとまったかなと思わせたマイルCSが8着。マイルCS後はまだ本格化途上との騎手コメントだったし、そこからある程度の上積みはあるはずだ。

キャンター調整を行うセリフォス(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

昨日の原稿で触れなかったので、今年のクールモア勢がやけにやる気、という話をここで書いておきたい。

今日の調教は誘導馬を先頭にルクセンブルグ、カイロ、イソップスフェイブルズ、ウォームハートという隊列。1列縦隊で、昨日よりはやや速いキャンターを消化した。誘導馬は1戦0勝の馬だそうで、3~4コーナーで早々に退避。ルクセンブルグが二段駈けのような形で僚馬を引っ張り、各馬ゴールまで力強く駆け抜けた。

海外の大レース・大ミーティングには積極的に所属馬を送り込んでいるチームだが、誘導馬の経費はおそらく自腹。しかも参加馬4頭にプラス1頭するということはストールが一つ増えているはずなので、そこまでして普段と近い調教を消化しようとしていることになる。隊列の組み方も以前はここまで厳密ではなかった。

エイダン・オブライエン師も早々に香港に到着し、木曜の枠順抽選では自らクジを引いた。取材にも積極的に応えており、その意気をこちらも買いたいという気分になる。現時点で気になるのはウォームハート。隊列のいちばん後ろで女性助手が乗り、少し横にズラして折り合いを維持できるかなどの確認をしていた。状態面ではカイロ。夏に使えなかったぶんまだお釣りがあるはず。地元馬や日本馬が強いが、上位に食い込んでほしい。

A.オブライエン厩舎の集団調教の様子(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

調教終了後の記者会見では、池江泰寿調教師にお話をうかがった。ゼッフィーロについては昨日の原稿でご紹介した天本悠太郎助手のコメントとほぼ同じで、「あまりスローになってほしくないですね。ジョッキーに細かい指示を出すことはしないですが、加速に時間のかかる馬なので動けるときに動けないという形は避けたいです。隊列の前後というよりは、自分から動けるスペースを確保した形で進めたいですね」とのこと。今回は頭数が少なめになったが、その点は同馬にとって有利に働きそうだ。

ソウルラッシュについては、「最後ナミュールの差し脚に屈しましたが一度は勝ったと思う内容でしたし、モレイラ騎手は完璧に乗ってくれました」とマイルCSを振り返った。現地司会者から安田記念2回の大敗について聞かれると「今年の春は状態が上がりきらなかったですし、一昨年については進路がなかっただけです」と気にしていない様子。今回参戦の2頭については「1週間ぶりに2頭を見たがコンディションには満足しています」と話し、香港でも知名度の高い父・池江泰郎元調教師の名前を出して「今年も香港に来ている父も、デキには満足しています」と、プレスを笑わせて会見を締めくくった。

池江泰寿調教師(左)と、父・泰郎元調教師(Photo by Kazuhiro Kuramoto)


(取材、文:須田鷹雄)