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【凱旋門賞回顧】「いい感じだと思ったが」武豊騎手&メイショウタバル夢破れる14着、連覇ダリズは牡馬として48年ぶり偉業

2026年10月05日 13:30

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 欧州競馬2400m戦線の最高峰、G1凱旋門賞が10月4日(日)にフランス・パリロンシャン競馬場で行われ、日本から出走した武豊騎手騎乗のメイショウタバル(牡5=栗東・石橋守厩舎)は14着、クリスチャン・デムーロ騎手が騎乗したアドマイヤテラ(牡5=栗東・友道康夫厩舎)は11着だった。

 勝ったのは地元フランスのダリズ(牡4=仏・F.グラファール厩舎)。2017-18年のエネイブル以来8年ぶり8頭目、牡馬では1977-78年のアレッジド以来48年ぶり史上5頭目の連覇を達成した。稍重馬場の勝ちタイムは2分27秒11。

「メイショウ」と「アドマイヤ」。日本競馬に長く貢献してきた2つの冠名を持つ馬が同時に挑戦。だからこそ今年こそ日本競馬の悲願達成を願ったが、凱旋門賞の壁は依然として高く、分厚いものだった。

 12度目の挑戦となる武豊騎手がメイショウの馬で凱旋門賞に挑むのは、08年メイショウサムソン以来18年ぶり。メイショウの先代オーナーである故・松本好雄さんとは、父の故・邦彦さんの時代からの長い付き合いであり、石橋守調教師は兄のような存在と慕う幼馴染。一方、石橋調教師はメイショウサムソンに騎乗して皐月賞、日本ダービーの二冠を達成し、そこから好雄オーナーとの関係が深まった。

「馬がつないでくれた人との縁、人がつないでくれた馬との縁」と、かつて武豊騎手が語っていた唯一無二のチームによるチャレンジは、文句なしの状態でレースを迎えていた。

「追い切りから凄く動きが良かったですし、今日も本当に落ち着いていて、いい雰囲気でしたね」と、最終追い切りにも騎乗した武豊騎手。

 外めの13番ゲートから発進したメイショウタバルはまずまずのスタート。7番ゲートからロケットスタートを決めたイギリスの5歳牝馬フレンドリーソウルが行かないと見るや、武豊騎手はメイショウタバルをじわじわとインへ誘導しつつ、先頭に立った。

武豊騎手が手綱を取ったメイショウタバル。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

「いい時のタバルのリズムで走れましたし、一番速いのなら先手を取ろうと思っていたので、すごくいいなと思いながら乗っていました。手応えは悪くなかったです。折り合いを欠くところもなかったですし、いい感じかなと思っていましたが……」

 コーナーの下りで行きたがる素振りも見せず、フォルスストレートも問題なくクリア。そして迎えた最後の直線、さあ、ここからというところでメイショウタバルは後続の追い上げに抵抗できず、馬群へと飲まれてしまった。

「最後の直線に向いて反応がなかったので、そこで力いっぱいになってしまった。こちらが思っている上にスタミナ、パワーを削がれていっているのかなという感じでしたね」

 ドウデュースで挑戦した2022年のような直前の大雨もなく、この日は快晴。「今日の芝生は僕が乗った凱旋門賞の中では一番走りやすいコンディションだったと思います。だからと言って全然硬くもないし、スタミナ、パワーもいる条件でメイショウタバルにとってはちょうどいいくらいのコンディションかなと思っていたのですが」。

 一方、アドマイヤの馬としては凱旋門賞に初挑戦となったアドマイヤテラ。これまで凱旋門賞を2勝しているC.デムーロ騎手を背に、道中はメイショウタバルら先行勢を見る形の好位4番手。こちらもリズム良く最後の直線に向くと、一度は伸びてくる姿勢を見せたものの追い比べについて行けず11着での入線だった。

「ゴール前は速い脚の勝負になってしまったことが残念でした。道中はいい感じだなと思いましたし、先行馬の後ろにつけて、取りたいポジションを取ることができました。でもペースが遅かった。この馬はワンペースのタイプなので、もう少し流れてくれれば良かったです。でも、最後まで頑張ってくれました」と、C.デムーロ騎手は瞬発力勝負になってしまったことを悔やんでいた。

 天候と馬場にも恵まれ、メイショウタバル、アドマイヤテラともにやりたい競馬はできていたように思う。だが、2頭とも2ケタ着順に敗れ、厳しい結果となってしまった。それだけ凱旋門賞は難しいレース、ということはもう分かり切ったことなのだが、日本競馬にとっての“答え”を今年も出せるには至らなかった。

11着に終わったアドマイヤテラ。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

 付け加えるなら、今年は例年以上にレベルの高い欧州馬が揃っており、単純に相手が強かったとも言えるのかもしれない。昨年に続き、日本馬の悲願を打ち破ったのは地元のエース4歳馬、ダリズだった。

 ミカエル・バルザローナ騎手を背に、道中は中団より後ろを追走。内よりの5番ゲート発進だったが、巧みに外へと持ち出すと、最後の直線は自慢の末脚を爆発。2番手から抜け出していたオイシン・マーフィー騎手騎乗の前哨戦フォワ賞2着ベイシティローラー(牡4)、道中はダリズのすぐ前を走っていたクリストフ・スミヨン騎手騎乗の今年の仏牝馬二冠ダイヤモンドネックレス(牝3)を一気に差し切り、最後はベイシティローラーに1馬身1/4差をつけての快勝だった。

 上がり3ハロンはメンバー最速の33秒32。日本の馬場で考えても相当に速い数字だが、特筆すべきは残り400mから200mの間。なんと10秒84という驚異的なスピードをマークしている。同馬を管理するF.グラファール調教師も「彼は本当に偉大なチャンピオンです。見ていて本当に素晴らしかった」と、牡馬では48年ぶり史上5頭目の連覇という歴史的偉業を達成したその走りを称えていた。

 ダリズは今回の勝利で通算12戦9勝、G1レースは4勝目。パリロンシャン競馬場では9戦8勝と、まさに“ロンシャンの鬼”と言ってもいい。なお、当地で唯一2着に敗れているレースは昨年のG3プランスドランジュ賞であり、このレースを勝ったのは日本のクロワデュノールであることも付け加えておきたい。

 また、ダリズのオーナーであるアガ・カーン・スタッズのザラ王女は「生産者としては、来年またレースに出すよりも、無事に厩舎へ戻って、これから始まる種牡馬としてのキャリアに向けて準備していく姿を見たいと思っています」とコメントしており、今年いっぱいでの現役引退となりそうだ。

文:森永淳洋