ムーニーバレー競馬場で最初の競馬開催が行われたのは1883年9月15日のこと。それより以前の1874年に開場したケンジントンパーク競馬場の経営で成功を収めていたW.S.コックスが、事業拡大を期してJ.F.フィーハンの農地を買い取り、そこに新たな競馬場を建設。それがムーニーバレー競馬場だった。コックス自身は1895年に亡くなったが、その息子をはじめ一族はムーニーバレーレーシングクラブの要職を120年近く務めて競馬の発展に貢献することになる。
豪州を代表するレースの1つであるコックスプレートは1922年に創設され、その名称はW.S.コックスに由来したもの。前哨戦として行われるジョンFフィーハンステークスの優勝馬には優先出走権が与えられ、競馬場開設の歴史を重要レースの関係性によって伝えている。現在、ムーニーバレー競馬場で行われているG1レースは春のコックスプレート(2040m)、マニカトステークス(1200m)、モイアステークス(1000m)、秋のウィリアムレイドステークス(1200m)の4鞍。日本調教馬はリスグラシューが2019年のコックスプレートで優勝したほか、日本から豪州へ移籍したブレイブスマッシュも2018年にマニカトSを勝っている。
また、ムーニーバレー競馬場は先進的な取り組みでも知られ、1998年にメトロポリタンと呼ばれる主要競馬場で初のナイター開催を導入。メルボルンの中心地から約6㎞の至便な立地もあり、大井競馬場のトゥインクル開催のような名物として定着している。2010年には「55秒チャレンジ」と銘打った955mの短距離シリーズを開始し、毎週金曜日の呼び物として人気を博している。