パリから約200km離れた海岸線、第二次大戦の上陸作戦で有名なノルマンディー地方にある。ドーヴィルは19世紀からリゾート開発が進み、上流階級がバカンスを過ごす街として発展。競馬場は皇帝ナポレオン3世の異父弟に当たるモルニー公の主導により建設され、1864年8月15日に初めて競馬が開催された。
そうした街の特性もあり、ドーヴィル開催は夏競馬の代名詞というべき地位を確立。競馬自体は年間を通じて開催されているものの、8月には月の半分を開催日に充てるなど、ドーヴィル競馬場が舞台となっている5つのG1競走もすべて8月に施行される。日本からの遠征も比較的多く、1998年にはシーキングザパールがモーリス・ド・ゲスト賞(1300m)、タイキシャトルもジャック・ル・マロワ賞(1600m)で優勝。シーキングザパールは日本調教馬として初の海外G1制覇という快挙だった。
また、周辺はフランス最大の馬産地でもあり、アルカナのサラブレッドセールが有名。カラ競馬場があるキルデア(アイルランド)、チャーチルダウンズ競馬場があるレキシントン(アメリカ・ケンタッキー州)といった世界を代表する馬産地とは姉妹都市の関係にある。