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名牝テピンの産駒が2週連続で重賞制覇、ドラクロワが英G3オータムS競り勝ち
プロフィール
ダート競馬の本場・アメリカにおいて、芝を主戦場にしながら超一流と認められるのは数年に1頭。そうした土壌にあって、テピンは並み居る牡馬を倒し、アメリカ調教馬にとって大きな壁である欧州でもG1勝ちを飾った規格外の名牝だ。
テピンは2歳時にダート戦からキャリアをスタートした。4戦目にダート1マイルのG3で重賞初制覇を飾り、4戦2勝と非凡な才能を見せていたが、3歳シーズンは呼吸に問題が見つかるなど4連敗で早々に終了する。M.キャシー調教師はダートで8着に沈んだ3歳初戦の内容を受け、2戦目からテピンを芝のレースに差し向けていたが、この采配が翌年に大輪の花を咲かせることとなる。
立て直されたテピンは、J.ルパルーを主戦に固定した4歳から快進撃を始める。3月の条件戦で1年4か月ぶりの白星を手にすると、6月のジャストアゲームSまで3連勝でG1初制覇。その後、ダイアナSはハナ差、重賞で初の1番人気に推されたボールストンスパSもアタマ差で2着に惜敗するが、続くファーストレディSを7馬身差で圧勝し、牝馬戦線を代表する存在となった。そして、この1か月後に同じキーンランド競馬場で開催されたブリーダーズカップマイルに駒を進める。
テピンが重賞で牡馬を相手にするのは初めて。しかも世界有数のマイルG1と相手関係は一気に強化したが、テピンは2番手追走から直線で弾けるように抜け出すと、2着に2馬身1/4差をつけて会心の勝利を挙げる。牝馬としては9度目のBCマイル制覇ながら、生まれも育ちもアメリカの牝馬となると初の快挙だった。この2015年は三冠馬アメリカンファラオに次ぐ2位の賞金を稼ぎ出し、エクリプス賞では最優秀芝牝馬を受賞した。
北米最強マイラーとなったテピンは5歳も現役を続け、さらなる高みを目指すことになる。G1ジェニーワイリーSを5馬身差で圧勝するなど前年から6連勝とすると、陣営は英ロイヤルアスコット開催への挑戦を決定した。ただ、米国で認められていたラシックス(運動性肺出血の治療および予防薬)や鼻腔拡張テープの使用が英国では禁じられており、テピンの遠征は大きな困難を伴うことを意味した。
さらには、テピンが狙うクイーンアンSは未体験の直線コースで行われるうえ、レース当日は重馬場と地元勢に有利な条件が重なった。それでも、3番人気の支持を受けたテピンは果敢に先行して残り1ハロンから先頭に立ち、食い下がる1番人気(タイ)のベラードを半馬身振り切って勝利を手にした。ロイヤルアスコット開催でアメリカ調教の古馬が勝ったのは史上2頭目、クイーンアンSは初制覇という偉業だった。
しかし、3か月後のウッドバインマイルで帰国初戦を飾ったものの、続くファーストレディSでは伏兵に大逃げを許し、前年から続けてきた連勝が止まってしまう。嫌な流れで迎えたBCマイルは超ハイペースを中団馬群の外から追走するも、迎えた直線ではラチ沿いをすくったツーリストに先を越され、またも2着で連覇を逃した。
クイーンアンSでの快挙もあり、2016年は再び最優秀芝牝馬に選出されたテピンだが、翌年は初戦に予定していたドバイターフを軽い疝痛で見送ると、4月18日には調教で以前のように意欲を見せなくなったという理由により、キャシー師から突然の引退が発表された。その年の秋には繁殖セールに上場され、クールモアのM.マグナー氏が800万ドルもの大金を投じて購買。アイルランドに渡って繁殖生活を送ることになった。
生年 | 2011 |
---|---|
性別 | 牝 |
毛色 | 鹿毛 |
父 | Bernstein |
母 | Life Happened |
母父 | Stravinsky |
調教師 | M.キャシー |
生産者 | Machmer Hall |
馬主 | Robert Masterson |
通算成績 | 23戦13勝[13-5-1-4] |
開催日 | 場所 | レース名 | 動画 | 着順 | 騎手 | トラック | 距離 | 馬場状態 |
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2016/11/05 | サンタアニタパーク | ブリーダーズカップマイル(G1) | 2 | J.ルパルー | 芝 | 1600 | 良 | |
2016/10/08 | キーンランド | ファーストレディステークス(G1) | 2 | J.ルパルー | 芝 | 1600 | 良 | |
2016/09/17 | ウッドバイン | ウッドバインマイル(G1) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1600 | 稍重 | |
2016/06/14 | アスコット | クイーンアンステークス(G1) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1600 | 重 | |
2016/05/07 | チャーチルダウンズ | チャーチルディスタフターフマイルステークス(G2) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1600 | 良 | |
2016/04/16 | キーンランド | ジェニーワイリーステークス(G1) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1700 | 良 | |
2016/03/12 | タンパベイダウンズ | ヒルズボロステークス(G2) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1800 | 良 | |
2016/02/13 | タンパベイダウンズ | サウスエンデバーステークス(G3) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1700 | 良 | |
2015/10/31 | キーンランド | ブリーダーズカップマイル(G1) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1600 | 稍重 | |
2015/10/03 | キーンランド | ファーストレディステークス(G1) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1600 | 重 | |
2015/08/29 | サラトガ | ボールストンスパステークス(G2) | 2 | J.ルパルー | 芝 | 1700 | 良 | |
2015/07/25 | サラトガ | ダイアナステークス(G1) | 2 | J.ルパルー | 芝 | 1800 | 良 | |
2015/06/06 | ベルモントパーク | ジャストアゲームステークス(G1) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1600 | 稍重 | |
2015/05/02 | チャーチルダウンズ | チャーチルディスタフターフマイルステークス(G2) | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1600 | 良 | |
2015/03/21 | ガルフストリームパーク | 条件戦 | 1 | J.ルパルー | 芝 | 1700 | 良 | |
2014/08/16 | デルマー | デルマーオークス(G1) | 8 | T.ベイズ | 芝 | 1800 | 良 | |
2014/07/19 | デルマー | サンクレメンテハンデキャップ(G2) | 2 | S.エリオット | 芝 | 1600 | 良 | |
2014/06/14 | チャーチルダウンズ | リグレットステークス(G3) | 8 | M.メナ | 芝 | 1800 | 良 | |
2014/05/16 | ピムリコ | ミスプリークネスステークス (L) | 8 | M.メナ | ダート | 1200 | 稍重 | |
2013/11/23 | デルタダウンズ | デルタダウンズプリンセスステークス(G3) | 1 | M.メナ | ダート | 1600 | 良 | |
2013/10/27 | チャーチルダウンズ | 条件戦 | 3 | M.メナ | ダート | 1600 | 良 | |
2013/10/06 | キーンランド | 未勝利戦 | 1 | M.メナ | AW | 1400 | 良 | |
2013/09/07 | チャーチルダウンズ | 未勝利戦 | 4 | M.メナ | ダート | 1200 | 良 |
距離 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
~1400m | 1 | 0 | 0 | 2 | 3 | 33% | 33% | 33% |
1401m~1800m | 12 | 5 | 1 | 2 | 20 | 60% | 85% | 90% |
1801m~2100m | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
2101m~ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
馬場状態 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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良馬場 | 8 | 5 | 1 | 3 | 17 | 47% | 76% | 82% |
稍重馬場 | 3 | 0 | 0 | 1 | 4 | 75% | 75% | 75% |
重馬場 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 100% | 100% | 100% |
不良馬場 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |