取材・文:インターナショナルスポーツマーケティング
来日してまだ1カ月と少しですが、早くも日本で18勝を挙げています(3月7日時点)。ここまでのご自身の活躍をどう感じていますか?
「とにかくとても嬉しいですね。エージェントもトレーナーも、すごくいいチームに囲まれているので、このまま勝ち続けていきたいです」
ファンの間でも「たとえスタートがあまりよくなくても、4コーナーで仕掛けてひとつでも上位を目指してくれる」という声が多く聞かれます。それがミシェル騎手にとって、勝負の世界におけるモットーと言えるでしょうか?
「そういった声があることは知らなかったですが、『みなさん私の勝ちたい気持ちが分かってきましたね(笑)』。ゴールが見えたら、私はとにかく勝ちたいとしか考えていません」
日本に来てかなり多忙な生活かと思いますが、大きな注目を浴びていることをどう感じていますか?
「昨年の札幌でも味わえたのですが、競馬ファンの方もメディアの方もたくさんいて、それが毎日味わえているので、とにかく素晴らしいし嬉しいですね」
引退馬も含めて来日前に知っていた日本馬はいますか?
「ディープインパクトはもちろん、オルフェーヴルとアーモンドアイです。凱旋門賞の勝利まであと一歩のところまで迫ったオルフェーヴルには感動しましたし、特に印象が強いです」
尊敬するジョッキーはいますか?
「ユタカ・タケ。彼はいつも冷静で、もし隣に台風が来ても絶対に冷静にレースをしていると思います。あとはクリストフ・ルメールですね。フランスでもよく見ていましたが、日本での活躍も見ていますし、ひとりの先輩として私も頑張らなければと大きな刺激を受けています」
これまでの人生で大きな影響を受けた方はいますか?
「ビリー・ジーン・キングという女性テニス選手です。彼女も初めて男性とテニスで戦って勝ったんですね。それがすごく印象深くて、女性でも頑張れば誰だって勝てるよという強いメッセージを学びました。今でも尊敬しています」
レースに臨むにあたり、気を付けていることはありますか?
「実はルーティーンが色々とあります。晴れていても絶対に手袋はズボンの中に入れること、ブーツを履くときはいつも同じ側のブーツから履くこととか。自分のギアが揃っているか何度も確認したり、日本に来てからもう一つ増えたのが、泥よけを忘れていないか叩いて確認する癖が付きました(笑)」
レースが終わって家に帰ったあとの時間はどう使われていますか?
「ノートを付けているのですが、今日やったこと、乗った馬、その時の感情など、イメージトレーニングをしながら復習しています。それと次の日のレースに向けて、乗る馬の情報を見て勝てそうなのか、どんな状態なのかなどを確認しています」
笑顔とあのハートマークポーズもファンに好評ですが、由来はなんでしょうか?
「最初に札幌で乗った際、ワールドオールスタージョッキーズのような大きなレースを勝った自分に驚いて、すごく感動して涙が出ました。その状況でファンから名前を呼ばれた時、とにかくみなさんに感謝したくて、思わずハートマークが出てしまいました。それを今でも続けています」
好きな日本語があれば教えてください。
「『マジデスカ(笑)』。日本語をいろいろと勉強していますが、日本語を話す時に『マジデスカ』をよく使って笑っています(笑)」
2020年の展望、さらにその後の目標について教えてください。
「まだ1カ月ぐらいは日本で騎乗しますので、まずはそれを頑張りたいです。その後については、まだどこに行くかは分からないですが、今はアメリカに行こうと考えています。経験したことがないアメリカのスタイルを学ぶためと、英語の勉強のためですね。これは一つの夢として考えているのですが、JRAの通年騎乗免許を本当に取得したいので、合格を目指して日本語の試験と英語の試験をとにかく頑張ります。そしてもう一つの夢なのですが、いつか日本の馬で凱旋門賞を勝ちたいと思っています」
最後に、日本の競馬ファンへメッセージをお願いします。
「今はいろいろと難しい状況もあって競馬場になかなか来ていただけず、残念で寂しい限りですが、早くみなさんが戻ってこられる状況になって欲しいと心から願っています。いつもみなさんからのメッセージや手紙をたくさんいただき、本当に感謝しています。みなさんの応援の声を聞くと、すごく力が出ます。ありがとうございます」