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ドイツ競馬のムチ使用ルール、2023年は世界有数の厳格運用に

2022年12月14日 11:40

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 ドイツ競馬の統括機関であるドイッチャー・ギャロップが2023年からムチ使用ルールを変更し、騎手にとっては世界でも有数の厳しい規制を適用することが明らかになった。豪競馬メディア『racing.com』が報じている。

 ドイツ競馬では、これまで1レース当たりのムチ使用回数は5回に制限されていたが、2023年からは3回まで減らされる。従来のルールでは5回を超えてムチを使用した騎手は14日間の騎乗停止および獲得賞金から一定額の減額が適用されてきた。しかし、新ルールでは4回の使用で14日間、5回の使用では42日間、6回では84日間、7回では5カ月に相当する168日間もの騎乗停止が自動的に適用される。

 こうした規制に対し、同メディアはドイツ国外の欧州各国で騎乗している騎手たちが、ドイツでの騎乗を敬遠するようになる可能性を指摘。ドイッチャー・ギャロップは2023年のバーデン大賞の賞金を40万ユーロに倍増する方針を発表したものの、今年のレースではL.デットーリ騎手がムチを6回使用して14日間の騎乗停止処分を受けた事実がある。

 また、同日に行われたアラブ種のアンダーカードでは、T.オシェア騎手が他馬との接触によりバランスを崩した騎乗馬を立て直すため、肩口に打ったムチの回数がカウントされて騎乗停止となった。オシェア騎手は「騎手というものは騎乗馬を立て直すために肩口にムチを入れるよう教えられるものだ」「一つ解ったことは、ドイツにはすぐに戻ってくる必要がないということだね」と、騎手の常識が通用しない状況を嘆いている。

 この他にも、両者の1週前には英国を拠点に活躍するアイルランド人のR.コークリー騎手がドイツで重賞初制覇を飾ったものの、ムチを9回使用したとして23日間の騎乗停止に。コークリー騎手の場合は手綱を持ったままの状態でムチが意図せず馬の肩口に接触した5回分をカウントされた。

主要国でのムチ使用ルール(1レースにつき)

・フランス:5回まで

・英国:バックハンドで7回まで

・アイルランド:8回まで

・豪州:残り100mまでは断続的に5回まで、その先は無制限

・米国:カリフォルニア州は6回まで、ニュージャージー州はムチの使用禁止など、各州の任意基準で全米統一ルールはなし

・日本、香港、シンガポール:無制限。採決委員が不適切な使用がなかったか判断