【ドバイワールドC】ウシュバテソーロ米BCで雪辱だ イクイノックス抜き獲得賞金トップへ
2024年04月01日 14:40
<ドバイワールドカップ>◇3月30日=メイダン◇G1◇ダート2000メートル◇4歳上(南半球産3歳上)◇出走12頭◇1着賞金696万ドル(約10億4400万円)
【ドバイ(UAE)=3月30日=桑原幹久】ドバイの悔しさは、米国で晴らす。ウシュバテソーロ(牡7、高木)が末脚を伸ばすも2着で、18、19年のサンダースノーに続く史上2頭目の連覇を逃した。
地元UAEのローレルリバーに8馬身半差の逃げ切りを許したが2着の賞金を加算し、日本馬の歴代獲得賞金ではイクイノックスを抜いてトップに立つ見込み。今後は昨年5着のBCクラシック(G1、ダート2000メートル、11月2日=デルマー)再挑戦を目標に据えた。
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白色光に照った敵は、はるかに遠かった。ウシュバテソーロが400メートルの直線を向くと、地元の大歓声に押された逃げ馬は20馬身近く前にいた。黄色のメンコを砂まみれにして追ったが、差は縮まらない。結果的に8馬身半差。ワンサイドゲームの展開に終わった。
川田騎手 はるか先に勝ち馬がいたので、前哨戦を勝った時点で千六を勝った馬ではありましたけど、強い勝ち方をしていましたので距離だけがどうか、というところでしたが、二千でもあれだけしっかりと走られてしまっては、どの馬にとってもノーチャンスだったなと思います。
鞍上は完敗を認めた。ただ、前年王者の意地を見せた。道中は従来通りに最後方で前半1000メートル通過は約1分と想定より速い流れ。3、4角で逃げ馬が後続を離しても、無理には追わず末脚に懸けた。1完歩ずつ脚を伸ばして残り100メートル、先に馬群から抜けたサウジC勝ち馬セニョールバスカドールを捉えた。同騎手は「全力の走りをして、サウジで負けた相手をつかまえてくれたので、精いっぱいの走りをしてくれたと思います」とたたえた。
全力疾走の積み重ねで、歴史に名を刻んだ。前走時に打撲を負い、ドバイ到着後は様子見の時間も続いた。現地の大雨の影響で馬場が閉鎖され、全馬同環境となった不幸中の幸いもあり、父オルフェーヴル譲りのタフネスぶりで能力を最大限発揮。首差でつかんだ2着賞金240万ドル(約3億3936万7500円)を加算して22億1567万8200円となる見込みで、22億1544万6100円のイクイノックスを23万円ほど上回り歴代トップに立つ。高木師は「後からついてくるものですが、光栄なことですね」と誇った。
春の中東連戦を無事に駆け抜けたが、立ち止まってはいられない。当初の予定通り、秋は星条旗の下でリベンジの機会が待っている。鞍上は「今年はデルマーでこの馬に合うコース形態だと思っていますので、改めてBCにチャレンジしたいというところですので、いい時間を過ごしてくれたらと思います」と言葉に力を込める。ベテラン7歳の大冒険に終わりは見えない。再び世界を驚かせる時がやって来るのは、そう遠くない。【桑原幹久】
◆24年の海外レース賞金換算 海外レースでの賞金は年始にフランスの競馬統括機関の1つ、フランスギャロが更新するレートに従って換算される。今年は1ドル=141・4円。厳密には141・403125円で獲得賞金が計算される。ウシュバテソーロの総獲得賞金は22億1567万8200円になる見込みで、JRAからは後日、正式な金額が発表される。また仮に為替が大きく上下しようとも換算レートは年末まで変わらない。