【ドバイシーマクラシック】専門家の見解
2019年03月29日 15:00

【木村拓人(馬三郎)の見解】
海外馬に例年のような大将格が不在と見ている今年のシーマクラシック。
前哨戦のドバイシティーオブゴールドを勝ったオールドペルシアンはパワー色が強い欧州型でスピードに疑問が残る。A.オブライエン厩舎のマジックワンドも一線級かと言われると疑問とせざるを得ない。
ここは日本馬3頭の争いでいいだろう。レイデオロが一番人気になるだろうが、狙ってみたいのはシュヴァルグラン。自身は初の海外遠征となるが、海外実績豊富なヴィブロスの半兄ならば馬場適性に不安はないだろう。「国内できっちり仕上げたので、あとは現地に行って環境の変化に戸惑わなければ」と大江助手も手応えを感じているよう。H.ボウマン騎手とのコンビでは複勝圏を外したことがなく、折り合いに不安がないのも魅力的。
レイデオロは昨年、京都記念の追い切りから気性の難しさを出しており、そのままドバイでも折り合いを欠いていた。ただ昨年後半はリズムを完全に取り戻しており、今年は本来の力を発揮できるのでは。
スワーヴリチャードも得意とは言えない条件の中山記念の内容が上々。今回は上積みが期待できるだろう。
【土屋真光の見解】
今年も日本勢vsゴドルフィン勢vsクールモア勢の三つ巴の様相となった。日本勢は昨年4着のレイデオロが雪辱を期すほか、スワーヴリチャード、シュヴァルグランと芝2400mの実績馬が揃った。ゴドルフィン勢は新陳代謝が進み、昨年の勝ち馬ホークビル、3着のクロスオブスターズは不在。クールモアの2頭はいずれも4歳馬だ。
中心はゴドルフィンの4歳馬オールドペルシアン。G1勝ちはないものの、昨年のロイヤルアスコット開催では芝2400mのG2キングエドワード7世ステークスを勝利。前走はスーパーサタデー開催のG2ドバイシティオブゴールドで、今回も出走するレーシングヒストリー、デザートエンカウンターらを軽く一蹴した。時計こそ速くなかったものの、昨年の9月以来とは思えないパフォーマンスで、さらにひと叩きしての上積みに期待したい。
2番手にはクールモアのマジックワンド。4歳牝馬ながら、欧州だけでなく、アメリカにも2度転戦。そして今回はドバイに矛先を向けてきた。前走のペガサスワールドカップターフでの2着は、苦手だと思われた整地馬場での重馬場、小回り、初の牡馬との対戦というハードルを乗り越えてのもの。負けたものの内容は高く評価したい。昨年のG1ヴェルメイユ賞も、パリロンシャンということを考慮すれば高速馬場寄りだった。今回は広いコースで、馬場もほどよい良馬場なら好走が期待できる。
3番手にスワーヴリチャード。前走の中山記念4着は適性を考えればむしろ好走の部類。昨年の天皇賞(秋)のような不利さえなければ、大きいコースの芝2400mは願ってもない舞台のはず。
以下、レイデオロ、シュヴァルグラン、レーシングヒストリーまで名前を挙げる。
【市丸博司の見解】
8頭立てで3頭が日本勢。しかも、この3頭はすべて日本で2000m以上のG1を勝っている一流馬である。いやがうえにも期待が高まるメンバーだ。
さらに、相手となる海外勢がやや手薄なメンバー構成。G1を勝った馬も、カナディアンインターナショナルを勝ったデザートエンカウンターしかいない。そのデザートエンカウンターは、前哨戦のシティオブゴールドで直線もたつき、1、2着のオールドペルシアン、レーシングヒストリーに0秒5も離された3着。G1馬よりは前哨戦1、2着馬のほうがよほど頼りになりそうである。
そう考えていくと、日本馬中心に予想するのがいかにも自然だ。
1番手はレイデオロ。昨年このレースを使っているのは大きな強みで、他の2頭と比べると軸馬としての信頼性が高い。
2番手はシュヴァルグラン。ジャパンカップは内の馬の前残り。1頭だけ外を通って上位へ来たことを考えると、少なくとも2400mではスワーヴリチャードより上ではないか。
上位2頭が抜けていると考える。3番手にスワーヴリチャード、オールドペルシアン、レーシングヒストリーとしておきたい。