ドバイターフ

Dubai Turf

2019/3/30(土) 24:20発走 

メイダン競馬場

  

【ドバイターフ】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2019年03月27日 15:00

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 過去5年間で日本馬が3勝、2着1回。唯一連対馬を出せなかった2015年は出走馬がなかった。ここしばらくは日本馬が出れば必ず連対している。芝中距離は日本の馬産が目指してきた方向にあり、1800mという条件はスピードや切れ味が活きやすいので、そうしたものに強みを持つ日本馬が好走しやすい。今年は牝馬3冠に加えてジャパンカップ(G1)をレコード勝ちした女傑アーモンドアイが出走してきた。17年の覇者で2年連続連対しているヴィブロス、昨年の3着馬ディアドラも戴冠をもくろんでいる。層は厚い。

 この条件に出てくる日本馬は、他のカテゴリーとは違い、何年に1頭の名馬、といった特別な形容がなくとも好走できる。アーモンドアイ(牝4歳)のような日本競馬史上最強クラスの女傑ならば、細かな戦力比較など無用で、高確率で勝てるレベルにあるといえる。アーモンドアイと同じく12年に牝馬3冠とジャパンCを勝ったジェンティルドンナは、ドバイシーマクラシックに2年連続出走して2着、1着。それと同等かそれ以上の評価もあるアーモンドアイが馬券圏外に去るとすれば、調整ミスか何らかのアクシデント以外に考えられない。

 母フサイチパンドラはエリザベス女王杯(G1)の勝ち馬で、オークス(G1)ではカワカミプリンセスの2着。スタミナに関しては優れたものを持っていた。父ロードカナロアは日本史上最強のスプリンター。種牡馬としては芝1200~1600mがベストで、それ以上の距離になると目に見えて成績が下降する。アーモンドアイが2400mのジャパンCやオークスを勝ったのは、母のスタミナが影響を与えた結果であるのはもちろんだが、絶対能力が高すぎるので適正距離を少々超えていても我慢してしまうという部分がありそうだ。今回、ドバイターフとドバイシーマクラシックのどちらに出てくるかに注目していたのだが、芝1800mを選択したということは、陣営は本質的にこのぐらいの距離が合っていると考えているのだろう。近い世代にサンデーサイレンス、ミスタープロスペクター、ヌレイエフを併せ持つ配合は2年連続連対中のヴィブロスと似ている。

 地元ドバイのドリームキャッスル(セ5歳)は、今年に入ってスミヨン騎手に乗り替わると3連勝。前走、前哨戦のジェベルハッタ(首G1・芝1800m)は後方で脚をため、最後の直線で外から鋭く脚を伸ばして差し切った。「フランケル×ドバウィ」という組み合わせ。このレースにおけるサドラーズウェルズ系は、芝2400mのドバイシーマクラシックに比べると存在感が薄い。日本馬も参戦する芝1800mの切れ味勝負では弱みを見せてしまうのだろう。ただ、フランケル産駒は日本でモズアスコットやソウルスターリングが芝1600mのG1を勝っているように、堅い馬場向きのスピードを秘めているので向かないことはない。母の父ドバウィは昨年の優勝馬ベンバトルの父でもある。直近5年間のジェベルハッタの勝ち馬は、本番のドバイターフで、2着、不出走、3着、6着、10着と1度も勝っていない。しかし、アーモンドアイと一緒に伸びてくるような展開になれば馬券圏内への食い込みもないとはいえない。

 ウートン(牡4歳)は前走のジェベルハッタでドリームキャッスルの2着。1番人気に推されたものの終わってみれば完敗だった。昨年4月にフォンテンブロー賞(仏G3・芝1600m)を勝ったのを最後に勝ち星がないのは詰めの甘さが原因。父ウートンバセットはミスタープロスペクター系で、2歳時にジャンリュックラガルデール賞(仏G1・芝1400m)を勝った。種牡馬としてはカルティエ賞最優秀3歳牡馬に選出されたアルマンゾル(英チャンピオンステークス、愛チャンピオンステークス、仏ダービー)を出している。しかし、本馬は実力的にここでは荷が重い。

 アイキャンフライ(牝4歳)は「ファストネットロック×モンジュー」という組み合わせ。父ファストネットロックは日本でもメラグラーナが重賞を勝っており、軽い芝への適性がある。しかし、母の父がサドラーズウェルズ系の重厚なモンジューなので、ドバイの芝で一変するかは疑問だ。昨年10月にクイーンエリザベス2世ステークス(英G1・芝1600m)で2着と健闘したが、雨によりコンディションが悪化した芝(重)だった。

【栗山求の最終見解】

 冒頭に記したとおり女傑アーモンドアイが圧倒的に優位に立っている。相手探しのレースだろう。外国馬から選ぶとすれば下馬評どおりドリームキャッスルだが、それならば一昨年の覇者で2年連続連対中のヴィブロス、昨年の3着馬ディアドラのほうが上だろう。前者の父ディープインパクトは16年の覇者リアルスティールを含めて過去3回連対している。後者の父ハービンジャーはドバイや香港の芝に合うタイプ。昨年よりも力をつけているのは心強い。日本馬の上位独占を期待したい。